第二次申立に対する神奈川県労
働委員会(県労委)の命令の要旨
2006.10.25交付
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 第二次申立(9名)に対し、神奈川県労働委員会(県労委)は、第一次の同委(神労委)、中央労働委員会に続き、三たび同要旨で 東芝(会社) の不当労働行為を認定し、 “労働者(申立人)側勝利” の救済命令を交付しました。

 ご支援をいただいたすべてのみなさんに深く感謝申し上げます。
 ありがとうございました。

 なお、第二次申立人は、金子、中村、須佐、平松、石川、竹上、塩田、佐藤、松本の各氏です。


 (注) 東芝争議支援共闘会議、弁護団、東芝の職場を明るくする会 の 「声明」 は、→ こちら
     県労委(=神労委) における 「傍聴記」 は → こちら


  県労委命令の要旨

東芝が、申立人らを 「問題者」 として排除し組合活動の弱体化を意図して、差別扱いをしてきたのは、不当労働行為である。

秘密組織 「東芝扇会=自己啓発の会」 を活用した組合支配介入は、不当労働行為である。

東芝は、申立人の賃金、資格、等級、役職の差別を是正せよ (現職及び定年者を主務・作業長等の役職にあった者として扱うこと) 。

四. 東芝は、是正後の賃金・賞与の格差相当額に 年率5分相当額を加算して支払うこと。

東芝は、縦1m、横1.55mの白紙に記載した謝罪文を 本社と各工場入口に掲示して他の従業員にも周知し、組合活動の自由を具体的に保障すること。


  「理由」 の要旨

▲ 会社の主張 申立人らの活動は、労働組合活動ではなく 政党活動だから 却下すべきである。

◎ 県労委命令 組合員の労働条件の維持改善、所属組合の自主的・民主的運営を志向している行為として認められるから組合活動として救済する。

▲ 会社の主張 通常の査定により生ずる格差であり、不自然なものではない。

◎ 県労委命令 資格、職務給の職群・等級、賃金、一時金および役職について格差が認められる。 申立人らの同期同学歴者には課長級以上の役職者も存在し、これを加味すると格差はさらに拡大する。

▲ 会社の主張 ビラ配布活動は政党活動として認識していたのであり、申立人らの組合活動を嫌悪するという不当労働行為意思はない。

◎ 県労委命令 本件格差は、共産主義的思想を持つ従業員を、労務管理上格別に注視していた会社が、重要な労務政策の一環として東芝扇会を育成の上、これら従業員を「問題者」として排除していく中で政党支部名義の職場新聞を配布するなどしていた申立人らについて・・・独自の活動を行う者として嫌悪し、その活動を封じ込め、あるいは弱体化することを意図し、その一環として、申立人らの資格、賃金等について不利益扱いをしたことによるものである。


 上記のほか、命令書では下記の事実も認定されています。

本社勤労部の秘密報告書には、「当社の問題者総数が494名」 と記載されている。

「東芝扇会」 の事務局には、神奈川県警出身の初鹿真、志田鉱八 (共産党幹部宅電話盗聴事件に関与) らがいた。

東芝扇会と現在の自己啓発の会の事務局を、総務部(勤) が担っている。

東芝のPMDC研修(課長候補養成教育) では、「職場に左派勢力が拡大した場合の一般的兆候」、「日本共産党の本質とイメージチェンジ戦術」 などの差別的思想教育が行われていた。

東芝の処遇制度は、成果主義的な側面があるとしても、年功的に運用されてきた。

本件格差は、組合活動を理由とした不利益扱いであり、組合活動に対する支配介入として労働組合法第7条第1号および第3号に該当する不当労働行為である。

会社は、申立人らの同期同学歴者との資格、職務給の職群・等級および役職の格差を是正しなければならない。

組合活動の自由を具体的に保障するとともに、そのことを他の従業員にも周知せしめることが必要であるので、謝罪文を本社と申立人らが所属する工場の入り口の見やすい場所に掲示しなければならない。


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備考 : 労働組合法  (抜粋)

第7条 使用者は、左の各号に掲げる行為をしてはならない。

1. 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。但し、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

2. 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

3. 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。但し、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、且つ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

4. 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立をしたこと若しくは中央労働委員会に対し第27条第4項の規定による命令に対する再審査の申立をしたこと又は労働委員会がこれらの申立に係る調査若しくは審問をし、若しくは労働関係調整法(昭和21年法律第25号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をすること。

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