トピックス 2007.9
偽装請負 …
たたかい粘り強く…キヤノン
直接雇用を求める…日亜化学
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偽装請負を告発した労働者たちのたたかいが続いています。 栃木、徳島からのリポートです。
キヤノン ハードル1つ越えた!
請負労働者がキヤノンの偽装請負を告発してから10ヵ月。 ついに日本経団連会長会社のキヤノンが直接雇用を表明(8月29日) しました。
「期間社員」 実現!
正社員をめざす!!
「やっと一つのハードルを越したにすぎません。 正社員への道を切り開かなければ、本当に喜べません」
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キヤノン宇都宮光学機器事業所=栃木県宇都宮市 |
告発した 「キヤノン非正規労働者組合宇都宮支部」(22人) の執行委員、佐藤誠次さん(33) はいいます。
佐藤さんらは、請負会社、アイラインからキヤノン宇都宮光学機器事業所(栃木県宇都宮市) へ派遣されていました。 クリーンルームで防じん服を着て、半導体露光装置の特殊なレンズを研磨、測定する仕事でした。
キヤノン社員からの直接の指揮・命令、請負から派遣への切り替え(05年5月)、派遣から請負への再度の切り替え(06年5月) … 昨年夏、偽装請負が社会、政治問題化するなかで、自分たちが偽装請負で働かされていることに気づきました。
大野秀之さん(32)=労組支部長=らの呼びかけで労組を結成。 06年10月に厚生労働省栃木労働局に、偽装請負を告発し、キヤノンに直接雇用するよう指導してほしいと申告しました。
ところが、キヤノンの御手洗冨士夫会長(日本経団連会長) は、「労働者派遣法を見直してもらいたい」 と開きなおりました。
佐藤さんは、「労働局は、指導まで最長でも6ヵ月といっていました。 いまだに指導がでないんですよ」 といいます。
「支部長としてつらかった。 正社員を募集する会社がふえてきたから。 そちらへ組合員が応募する道もあった。 『もうちょっとで指導がでる』 と組合員にがまんしてもらいつづけたから」 と大野さんは語ります。
労働局の指導の前に、突然の直接雇用表明。 キヤノンの幹部社員は、社内の実情を明かします。
「参院選挙で、キヤノンは御手洗会長を先頭に、自民党候補を本社に呼んで演説させ、管理職に応援を求めた。 ところが自民、公明の大敗。 社内では、御手洗会長が国会に参考人招致されたら大変だとさわいでいた。
参院の与党過半数割れという変化もあったのではないか」
年収77万上昇
キヤノンの直接雇用は、アイラインの請負労働者で、離職した19人をふくむ82人(全員) を10月1日付で 「期間社員」 として採用するもの。 初回の雇用期間は5ヵ月、最長2年11ヵ月 (法律で有期契約は3年まで) です。 正社員登用制度 (筆記試験と面接) がありますが、年1回、通算3回までです。
一方、期間社員になることで労働条件は大幅にアップします。 時給は1,300円で、各種手当をふくめると、佐藤さんの場合で、現在の約284万円の年収が77万円アップして約361万円になる予定です。
通勤費も1日最高で500円だったのが実費支給になるため、月に約1万2,500円アップします。
大野さんが語ります。
「正社員への試験は、3回しかチャンスがない。 はたして正社員になれるか…。 でも、これからはキヤノンと団体交渉できるんです。 やりますよ」
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「正社員になりたい」 と語る大野秀之さん
〔右〕 と佐藤誠次さん =栃木県宇都宮市
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キヤノンから日亜へ
ともに頑張ろう!
大野秀之さんの話
「僕らより先に偽装請負を告発した松下プラズマディスプレイや光洋シーリングテクノ、日亜化学のみなさんのたたかいを教訓にできたからこそ、僕らもたたかえました。
正社員になるという前例を僕らがつくることこそ、その恩返しだと思います。 日亜の島本さん、つらい思いをはねかえし、がんばってください。」
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日亜化学…
約束のほごに負けない!
直接雇用を求める!!
日亜からキヤノンへ
僕らが報われる社会へ!
島本誠さんの話
「ほぼ同時期に偽装請負を告発し、直接雇用を勝ち取ったキヤノンの大野さんらに、お疲れさまといいたい。でも、僕たちのゴールは正社員ですよね。 偽装請負をしてきた会社をただし、僕ら請負労働者が報われる社会にするたたかいはこれからです。
おたがいがんばりましょう。」
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「日亜は約束を守れ」 と訴える島本誠さん
(中央) ら JMIUの組合員 =徳島市
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共産党が調査団派遣
青色発光ダイオードで知られる日亜化学 (本社・徳島県阿南市) が、偽装請負を告発されて請負労働者の直接雇用を約束していましたが、これをホゴにしています。
日本共産党調査団に、「(直接雇用を約束する) 合意はなかった」 と開き直る会社。 「絶対に負けません」 と組合員たち。 たたかいは第2ラウンドに入りました。
日亜化学の社内を視察する共産党議
員調査団=8月30日、徳島県阿南市 |
事態の重大さに日本共産党は急きょ、8月29、30の両日、小池晃参院議員・政策委員長を団長とする調査団を現地に派遣しました。
その精力的な調査に全日本金属情報機器労組(JMIU)日亜分会の福谷泰幸さん(27)は、「精神的に落ちこんでいたときだけに、勇気づけられました。 力をもらいました」 と語り、仁比聡平参院議員らとがっちり握手。
津川高昌さん(23) も力強くいいました。
「多くの人からこんなにささえられているなんて…。 最後までやります。 全国の請負労働者のためにも、直接雇用、正社員への道をひらきますよ」
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3項目の合意
調査団からの聞き取り調査で、妻と6歳の長女と暮らす労組代表、島本誠さん(34) は切々と訴えました。
「失業保険は7月で切れました。 9月は預金を切り崩しますが、10月は無理です」
昨年10月、地元の請負会社から日亜に派遣されていた島本さんらは、日亜の偽装請負を告発。 県の有力企業だっただけに、県が仲介役を務めて協議が行われ、1ヵ月後の11月10日、日亜とJMIUは、
(1) 3年以上働いてきた労働者に、3年働いてきた経験を最も重視する採用選考を行い、12月1日付で契約社員として直接雇用する。 適性を見て正社員への道を開く、
(2) 今後も、働く期間が3年に達した請負会社の労働者も同様に扱う、
(3) 請負会社の労働者の雇用や労働条件の改善が可能になるよう日亜化学としても配慮する――、 の3項目で合意しました。
1,600人の請負労働者を順次、直接雇用するというもので、試験についても日亜は、「たとえゼロ点でも、3年働いてきた実績を重視する」 と語っていました。
マスコミは 「日亜化学1,600人直接雇用へ」 と報道。 飯泉嘉門知事は記者会見で 「まさにこれは大きな前進。 全国の企業の皆さんのリーディングケースになっていくのではないか」
と絶賛し、組合員も徳島労働局への申告を取り下げました。
ところが日亜は、ことし1〜2月、5〜6月の試験で組合員らが働いていた職場 (デジカメのバックライトを生産) の労働者を全員、不採用にしました。
しかし、ほかの職場では合わせて31人が採用になっています。
しかも、日亜は同職場を徳島県鳴門市の工場へ移管。 仕事のなくなった組合員にたいし、日亜化学と仲介した徳島県が 「5月に直接雇用の試験をする。
優先雇用を前提に、仕事が入るまで離職してほしい」 と強く求めたために、請負会社を3月にやめていたのです。
「離職させられたうえに直接雇用もしないなんて。 徳島県が間に入って合意したことに反することは許されないですよ」
津川さんの怒りはおさまりません。 失業し、アパート代など5万5千円の支払いはできるのか…。 津川さんの生活は切迫しています。
開き直る会社
春名眞章元衆院議員、笹岡優衆院比例四国ブロック候補、山田豊、古田美知代、扶川敦県議らも加わった調査団は、日亜化学本社、徳島県、厚生労働省徳島労働局におもむき、直接雇用の実現や偽装請負のすみやかな調査を迫りました。
日亜では、田崎登副社長、岩浅肇夫常務らが応対。
日亜は、「組合側と当社との間で具体的な合意がなされたという認識はない」 などとする驚くべき文書を示しました。 採用についても、「差別的取り扱いはまったくない」
と開き直りました。
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(上) 日亜化学の本社、本社工場 (徳島県阿南市)
(下) 日亜化学の田崎登副社長(左端)らに「合意」を守れと
申し入れる共産党調査団(右側)=8月30日、日亜化学本社 |
小池、仁比議員らは、「『合意』 は、1,600人を順次、契約社員とするもので、徳島県知事も 『日亜との橋渡し役をした。 全国企業のリーディングケースになっていく』 と高く評価したもの。 『合意』 がないとは、労働者と世論をあざむくもので、日亜の社会的責任が問われる」 と厳しく批判しました。
それでも日亜側は、「合意」 はなかったとの態度に終始しました。
県と交渉する共産党調査団(左)とJMIU
の組合員(正面)=8月30日、徳島県庁 |
小池議員らは、徳島県庁で日亜と労組のあっせん役をしてきた商工労働部の林善章次長と会い、「日亜は約束をホゴにしようとしている。 県として日亜に抗議し、是正を求めてほしい」
と強く求めました。
林次長は、「この(3項目) とおりだと思います」 と 「合意」 があったことを認め、「やれることをやっていきたい」 と答えました。
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激励先 〒771-0117 徳島市川内町鶴島115黄金ビル1階
徳島労連JMIU日亜分会 電話:088−665−6644
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出典: 日本共産党発行の 「しんぶん 赤旗 日曜版」 2007年9月9日付、「しんぶん赤旗」9月5日付、同9月6日付、 同党HP
(*) 日亜化学における偽装請負の告発とたたかいはJMIU徳島地域支部のサイトで詳しく紹介しています。
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