しながわ・まさじ =1924年生まれ。
日本火災海上 (現興亜損保) 社長
・会長、経済同友会専務理事などを
歴任。現在、国際開発センター会長
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私がいま大会社の経営トップに言いたいのは、「人間を大事にする目で経済を見なさい」 ということです。
結婚もできない。 子どもも産めない。 家もない。 働く人たちをそんな低賃金と不安定雇用に放っておく資本主義は長続きしません。
日本経済はこの6年間、高度成長期の 「いざなぎ景気」 (1965〜70年) 以上に長い好景気といわれました。 その間、大企業は利益を大きく増やしたのに労働者への配分は減らして、株主への配当や内部留保ばかり増やしてきました。
だからいま、配当や内部留保はまず雇用に回すべきです。 ほんのわずかでこんな “首きり” はしなくてすむ。 資本と労働の配分の比率を以前の水準に戻すだけでも、雇用のためのかなりの余裕が生まれます。
“経済成長の果実は全部資本家のものだ、それをどう分けるかは資本家が決める”。 これがアメリカ型の金融資本主義でした。 それが今度のリーマン・ショックで破たんしたわけです。
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