キヤノン … もうけの 8割 株主に
経団連会長企業のキヤノン(御手洗冨士夫会長)。 1月28日に発表した2008年12月期の連結決算によると、08年の株式配当金は前年と同額で、1株110円を維持しました。
配当金総額は約1,400億円。
前年より、もうけ(当期純利益) を1,900億円減らしたのに、株主は優遇されています。 株主の44%が外国企業です。
他方、キヤノン本体と子会社は約2,000人の非正規雇用労働者を切り捨てています。 1人当たりの人件費を年300万円とすると、60億円あれば雇用を維持できます。
これは2008年配当総額の4.3%にすぎません。
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キヤノンは、もうけにあたる当期純利益を減らしながら、株主への配当は維持した上に、ため込み金(内部留保) をも増やしています。
キヤノンの当期純利益を見ると、2007年は4,900億円、2008年は3,000億円です。 上記のように、株式配当金に1,400億円を使います。
これに加えてキヤノンは、自社株買いに1,000億円を支出しています。 自社株買いとは、もうけの一部を使って市場に出回っている自社の株を購入すること。
株価を支えることで、株主に利益をもたらすため、「隠れ配当」 ともいえます。
株主への配当金総額1,400億円と、自社株買いの1,000億円を合計すると、2008年にもうけた3,000億円のうち、8割を株主のために使っていることになります。
内部留保はどうか――。
内部留保の主力といわれる利益剰余金は、2008年が2兆9000億円。 2007年より1,600億円積み増ししました。
宇都宮光学機器事業所(栃木県) で偽装請負を告発、正社員化を求めてたたかっているキヤノン非正規労働者組合の大野秀之支部長(34) が語ります。
「キヤノンは全国で “非正規切り” をすすめ、宇都宮光学機器事業所では、休業するか、それとも退職に応じるかなどと迫っています。 非正規労働者を犠牲にし、配当を維持する。
企業のモラルが低下していることを示しています。 違法な偽装請負をしながら、僕らを正社員にしようとしない。 政治の力で、こうした横暴を許さないようにしてほしい」
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ソニー … 人減らす一方 株主に増配
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世界で正社員・非正規雇用労働者1万6000人 (日本では約2,000人) を削減するソニーは、株主への配当金を倍加させる計画です。 配当金は2007年度が25円。 2008年度は50円 (30円は支払済み) を予定。 配当金総額は500億円にのぼるとみられます。
ソニーは2008年度に約1,500億円の赤字を見込んでいます。 にもかかわらず、株主への配当は前年度の2倍を計画しています。
ソニー本社で働く50代の社員が語ります。
「会社はソニーの危機といいながら、従業員には人減らしや賃金・一時金の大幅なダウンを押し付けています。 その一方で、株主には増配しています。 役員の多くが株主であることとあわせ、海外の投資会社・大株主に顔を向けた経営は、あまりに理不尽ではないのか」
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