トピックス 2008.8 【続報】キヤノン… 男性研究員過労自殺に至る実相 「職場で仕事できるのは午後10時まで」 実態は 月200時間超す残業、 54日連続勤務、 自宅で徹夜作業を続けた果てに… |
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キヤノンの研究者が鉄道に飛び込んで自殺しました。 厚生労働省はこの 6月、過労自殺として労災認定しました。 自殺の原因を探っていくと、巧妙な時間外労働の仕組みが浮かんできました。 (岡清彦記者)
「Aさんが研究していたのは、“デジタル商業印刷機” というキヤノンの戦略商品です。 開発が遅れていたため、御手洗冨士夫会長が急がせていました」 “デジタル商業印刷機” とは、これまでのように版を製作して印刷するのではなく、データを直接、印刷する方法で、パンフレットなどの印刷に使われています。 御手洗氏が日本経団連会長に就任したのは06年5月。 この当時からAさんの超長時間残業が激しくなっていきます。 死亡前の半年間、Aさんはすさまじい残業を続けていました。 ▼ 108時間 (06年6月) ▼ 106時間 (同7月) ▼ 79時間 (同8月) ▼ 212時閤 (同9月) ▼ 183時閻 (同10月) ▼ 263時間 (同11月)。 ▼ 54日間連続勤務もあります。 成果展に追われ 11月に263時間もの残業があったのは、研究者が1年間の研究を発表する 「成果展」 が開かれたからです。
しかし、Aさんの自宅にあるパソコンには、作業を終了した記録が残っています。 ▼ 午前3時56分 (9月30日) ▼ 午前4時52分 (11月16日) ▼ 午前6時57分 (11月22日)―― 。 会社を出てから自宅に仕事を持ち帰り、徹夜するなどしていたのです。 「成果展」 が近づくと、Aさんは 「当日、雷でも落ちればいいのに」 といって、周囲の人を驚かせました。 ほかの研究者からも 「海外に脱出しようか」 「大地震が起きないか」 の声があがっていました。 Aさんの目は充血し、頭痛、肩こりを家族に訴えました。 それでも 「成果展」 では、質問に明確に答えられなかった場面もあったといいます。 せっぱつまったAさんは、「成果展」 の翌日に退職願を提出。 明くる日に自殺しました。 労災申請した妻 Aさんの妻は、過労死弁護団全国連絡会議の川人博幹事長に相談し、07年3月、静岡県沼津労働基準監督署に労災を申請していました。 妻は、「キヤノンでは、残業が慢性化していて、主人は成果展に向けて必死に努力していました。 主人の自殺が労災と認められて、ほっとしているところです」 と語っています。 本紙は、キヤノン内部で社員にこう説明していることをつかみました。 「遺族の弁護士が、『亡くなる前の1ヵ月の時間外が263時間』 などと説明し、報道された。 当社の認識とはことなることが多々ふくまれている」 自宅作業に追い込まれたAさんの労働時間を加えていないのか―― 。 こうした説明について川人弁護士が語ります。 「労基署の労災認定をキヤノンは厳粛に受け止め、襟を正すべきです。 経団連会長会社としては、著しく反省が足りないと思います。 社員の健康を大事にすることを期待して、今回の労災認定を公表しました。 職場の改善を求めていきたい」 |
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出典: 日本共産党発行の 「しんぶん赤旗 日曜版」 2008年8月10日付 トップページへ トピックスの目次の頁へ この頁のトップへ |