第2回審問… 双方の証人反対尋問 (2008.2.5(火)… 13:30〜17:00) の 「傍聴記」
この日は、会社側の証人1名と、労働者(差別是正申立人) 側の証人3名 の 計4名に対する反対尋問が行われました。 なお、中労委の審問は、次回3月19日(水)10時から第6回調査を行って結審することになりました。
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会社側の遠藤証人 ((京浜)の製造部門の課長) に対する反対尋問では、技能職で入社した同証人の同期同学歴入社者の役職状況がどのようになっているかとの労働者側弁護士の質問に、同証人は 「現在籍者は8名で、うち6名が役職者です」 と証言し、技能職の職場でも在職年数の長い人では役職者の比率が高いことを認めました。
また、労働者側弁護士が「作業長に登用するかどうかの判断のためにどうするのか?」 との質問に、同証人は 「作業長代行とか、グループ・リーダーをやってもらい、能力を確認している」 と証言しました。 そのことに関連して労働者側弁護士が、「前回の主尋問で証人は 『松本さん(注:差別是正申立人) が役職に登用されないのは、仕事ぶりに抜きん出たところがなく、統率力がないので役職にはつけられない』 と証言したが、松本さんを作業長代行やグループ・リーダーにすチャンスを与えていないのが事実ではないのですか」 との質問に、同証人はまともな理由を証言することができませんでした。
私は、会社が申立人らに対して差別意思を持っているから、どんなに技量が高く、職場をまとめる能力を持っていても役職につかせない実態が明らかになったと思いました。
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続いて、労働者(差別是正申立人) 側の石川さんに対する反対尋問行われました。
会社側の弁護士は、「自己啓発の会」 の活動実態を示す労働者側提出の証拠について、「頁が抜けている」 とか、「アンケートの質問事項が載ってない」
などと言って、あたかも証拠能力がないものだと言いたいような質問を繰り返しました。 それに対して石川さんは、「名称を 『東芝扇会』 から 『自己啓発の会』
に替え、各事業所や工場にあって同じ活動をしていることを神奈川県労委などで会社側の証人が証言しています」 ときっぱり証言しました。
また、会社側の弁護士が 「『自己啓発の会』 の総会の回数が1回ずれているから、扇会からの継続とはいえないはずではないか?」 との質問に、石川さんは 「何かの事情で総会をやらなかった年があり得るし、大筋で違っていない」 ときっぱり反論しました。
私は、こんな程度のことで 「自己啓発の会」 の存在と 「東芝扇会」 からの継続性を否定できると会社側弁護士は考えているのだろうかと、なかばあきれる感じがしました。
さらに、申立人側が毎年の春闘時期に労働組合から発表された資料を基に作成して提出した賃金データ (証拠) について、会社側の弁護士の質問は、些細なことであげ足を取ろうとする姿勢に終始していると感じました。
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続いて中村さんに対する反対尋問が行われました。
会社側の弁護士は、「2000年の処遇制度改訂で事務技術職のB1になったのではないですか」 との質問に、中村さんは 「3年間だけ事務技術職に格付けされたが、溶材管理の仕事内容はまったく変わらなかった。 例えば、溶材20kgを手で1トン分運ぶ仕事がずっと続いた。 これが事務技術職の仕事でしょうか」 と、技能職の同期同学歴者と比べて低く差別されてきたことを憤りをもって証言しました。
また、自立自営支援制度で 「早期退職を強要されたわけではないでしょ?」 との会社側弁護士の質問に対して、中村さんは 「『私は辞めません』 と言ったのに、繰り返し計4回も 『辞めないか』 と言われた。 これが強要といわないで何と言うのか?」 と怒りを込めて告発・証言しました。
一方、中村さんが卓越技能者として90号館に顔写真付きで名前が掲示されたことや、労働災害防止の活動、改善提案係、出張で工事を完成させたことが何回もあることなどについて具体的に証言をはじめると、会社側の弁護士は 「それはいいです。 次にいきます」 と、中村さんの証言をさえぎることしばしばでした。
また、会社側の弁護士が、溶材管理から仕事が替わってからの “溶接技量認定試験” は 「不合格でしたね」 と質問したのに対して、中村さんは、「溶材管理で溶接の仕事を離れて9年も経ってから、まったく練習もさせないでいきなり 『技量認定試験をやる』 と言われたんです。 私が差別是正の申立てをした次の年です。 急にやらされたのです。 これは “あらさがし” のためだと直感しました」 と、会社の汚いやり方に怒りをもって反論の証言をしました。
私は、会社の申立人らに対する差別意思はこんなにもひどいものかと、あらためて憤りを感じました。
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最後に、塩田さんに対する反対尋問が行われました。
会社側の弁護士は、RK図面管理の仕事をしている塩田さんが所属するグループの組織図を示して、「塩田さんは自分の処遇に不満をもっているようですが、直接関係ない設計部門から移ってきた人がグループリーダーになったことについて、『会社の人事はおかしい』 と言わなかったのですか」 と質問。
塩田さんは、「会社がする人事異動なのですから、そんなこと言えるわけがないでしょう。 ただ、一般論で言えば、経験豊富な人が上にいて業務をすすめることが能率的だと誰も思うことでしょう」 と、会社の差別扱いを批判・証言しました。
また、塩田さんが結核で入院・病欠する以前から会社が昇給・昇格の差別をしてきた事実、そして退院して仕事に復帰した後も差別をしてきた事実を具体的なデータ証拠で証言しました。
そして塩田さんは、コストを約20分の1に下げた事例や納期短縮のための創意工夫など多くの業務改善を行い、十分高い能力を発揮してきたという自負を持っていることを堂々と証言しました。
期せずして、傍聴席からは大きな共感の拍手が起りました。
以上
(M記)
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