トピックス           2008.12

      東京電力・柏崎刈羽原発火災続発!
 
  「原因究明」「再発防止」確約するが…
         原発への信頼 自ら傷付ける!!
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 去る11月22日の東京電力・柏崎刈羽原子力発電所(原発)7号機での火災に続き、12月8日にも同6号機でも火災が発生した。

 昨年7月の新潟県中越沖地震で同原発が停止してから6件目の火災である。 18ヶ月で6件とは、3ヶ月に1件の割合である。

 火災の他に、復旧作業中の作業員がけがをする事故も多発しているようである。

 地震で被災してからの復旧工事に、かなりの無理があるのではないか?

 もともと安全を売り物にしてきた原発が、地震で18ヶ月以上も運転出来ない事実が、原発の安全性が如何にいい加減であるかを物語っている。

 報道によると、2つの火災と それへの対応は、概要以下の通り。

 
 【11月22日発生した火災】

 11月22日午後9時50分ごろ、東京電力柏崎刈羽原発7号機のタービン建屋で、点検中のタービンの洗浄剤に引火して火災が発生。 下請け会社の作業員1人が消火中に右手に軽いやけどを負い、もう1人が煙を吸って気分が悪くなり病院に搬送された。 引火性のある洗浄剤をモーター式の噴霧機で使っていたことが火災につながった可能性が高いとみられている。

 新潟県防災局長が 「地域住民の信頼を損なうもので、徹底した再発防止策を講じてもらいたい」 と、高橋明男・同原発所長に安全管理の徹底を求めたのに対し、高橋所長は 「心配をかけて申し訳ない。 事故は多い少ないではなく、あってはいけないこと。 真摯(しんし)に対応する」 と陳謝した。

 この火災の原因について、東京電力は12月12日、タービン洗浄用の機械の電源スイッチを入れた際、発生した火花が洗浄液に引火したためだったと経済産業省原子力安全・保安院に報告した。 洗浄液が高い揮発性のある危険物と認識していなかった単純なミスで、防火に向けたルールの改善、徹底に改めて取り組むという。

 東京電力によると、火災発生当時は作業員5人がタービンに脱脂洗浄剤をポンプで噴霧し、汚れをふき取る予定になっていた。 洗浄剤はアルコール類で、灯油よりも揮発性が高い危険物。 このため本来なら、電源を入れた際に出る火花が外気と接触しない 「防爆構造」 のポンプ機械を使用すべきだった。

 しかし、作業員に危険物を取り扱っているとの認識が不足していたため、一般のポンプ機を使用。 さらに機械全体をビニールで覆っていたため、揮発した洗浄剤がビニール内に滞留し、電源を入れた瞬間に発火した。

 これまでのタービン洗浄は 「手ふき」 で行っていたが、原発の早期復旧に向けた大量工程の中で作業の効率化を考慮し、初めて機械を使ったという未経験も火災の一因となった。 このため、東京電力は元請けの協力企業などと協議し、アルコール類など可燃物の機械を用いた噴霧を禁止するなど、再発防止に向けたルール徹底化を進めていくという。



 【12月8日発生した火災】

 東京電力柏崎刈羽原発で起きた6件目の火災は、12月8日午前10時40分ごろ、6号機タービン建屋地下1階で、耐震強化工事のため溶接作業中に火災が発生。 協力企業の作業員1人が体調不良を訴え、施設内の健康管理室で手当てを受けた。

 溶接機械1台が焼けたが、東京電力が火災発生の把握に手間取り、消防への通報に約1時間を要した。 東京電力は当初 「溶接中に煙を吸った作業員が体調不良」 という連絡を受けたが、火災が起きていると疑わなかった。

 同原発では、11月22日の7号機タービン建屋での火災で作業員が負傷するなど火災や作業事故が相次いでおり、県が安全管理の徹底を東京電力に申し入れたほか、柏崎市消防本部も文書指導したばかり。

 柏崎市消防本部は12月8日、通報が遅れた経緯や原因などを調査、報告するよう東京電力に要請した。 県は 「先般、指摘したところであり遺憾。 しっかりと事故防止に取り組んでもらいたい」 としている。

 柏崎市消防本部の再指導を受けた同原発の高橋明男所長は11日会見し、8日の火災と消防への通報遅れについて陳謝するとともに、早急に原因を突き止め、対策を地域住民に報告することを確約した。

新潟県の東京電力柏崎刈羽原発6号機タービン建
屋で、作業中に焼けた溶接機械=12月8日正午ご
ろ(東京電力提供) (共同通信WEBサイトより転載)

 高橋所長は会見の冒頭で 「度重なる災害の発生で、地域の皆様にご心配をかけ、心よりおわびする」 と謝罪。 「経済産業省原子力安全・保安院や消防の指導を真摯(しんし) に受け止め、再発防止対策について万全を期す」 と述べた。

 原因究明の期限については 「時間が必要。 なるべく早く」 と述べるにとどめたが、消防への通報が遅れた背景に火災を隠す意図があったのではないかとただされると 「全くない」 と断言。 中越沖地震の時にも消防との連絡が一時途絶えたこととの関連性についても 「今回のことは別の問題」 と否定した。

 高橋所長は 「協力企業も含め、原発施設で働く約8,000人の安全意識をより高めていく」 と発言。 不祥事の連続で原発施設への信頼性を自ら傷付ける事態となったが、改めて再発防止に努める意向を強調した。


                                (文責:「東芝の職場を明るくする会」)



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