トピックス      2008.11

   日本弁護士連合会
      
ワーキングプア解消するための
         決議・提言、会長声明
発表 !
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 日本弁護士連合会(日弁連) は10月3日、「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」、11月6日 「労働者派遣法 「改正」 案に反対し、真の抜本改正を求める会長声明」 を発表しました。

 これらは、今日深刻化している貧困の連鎖と非正規雇用の問題、とりわけ雇用破壊がすすむなかで、私たちにたたかいの確信と展望を示してくれています。

 その中の一部を紹介すると、ワーキングプア拡大の要因は (1) 「市場中心主義」 のもとでの 「規制緩和」、(2) 「小さな政府」 による社会保障費の抑制としています。 その上で、これらを解決する根拠として憲法13条、同14条、同25条、同27条、同28条に照らして 「すべての人に、公正かつ良好な労働条件を享受しつつ人間らしく働く権利、かつ生活する権利を保障している」 としています

 そして、これらの根拠をもとに次の6項目を提言しています。
  1. 正規雇用を原則とする労働政策及び労働法制の確立
  2. 均等待遇原則の確立
  3. 最低賃金の大幅な引き上げ
  4. 違法行為の根絶に向けた監督体制の抜本的強化
  5. 社会保障費の抑制方針の見直し、社会保障制度の抜本的改善等
  6. 使用者の社会的責任

 そして最後に、「すべての人の人間らしく働き生活する権利を確立することは、人権擁護をその使命とする弁護士に課せられた責務である。」 として、ワーキングプア問題に積極的に取り組む姿勢を表明しています。

 日本弁護士連合会(日弁連) のホームページで、これら決議会長声明を読むことができます。
 なお、労働者派遣法の抜本改正を求める会長声明を以下に転載させていただきます。


                                            (以上の引用および文責は 「東芝の職場を明るくする会」)


 労働者派遣法「改正」案に反対し、真の抜本改正を求める会長声明

本年11月4日、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案」 (以下 「派遣法改正案」 という。) が閣議決定され、臨時国会に上程された。

当連合会は、同年10月3日、人権擁護大会において 「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」 を満場一致で採択し、非正規雇用の増大に歯止めをかけワーキングプアを解消するために、労働者派遣法制の抜本的改正を行うべきである、と提言した。 

しかし、今回の派遣法改正案は、次のような問題がある。
すなわち、
1. 日雇い派遣について、これを全面的に禁止するのではなく、30日以内の期限付雇用労働者の派遣を原則禁止するに止まり、政令で定める広範な例外業務を認めて日雇い派遣を公認している。

2. 30日を超える短期雇用を容認しているため、派遣労働者の不安定雇用を是正することにはならない。

3. 派遣料金のマージン率について、平均的なマージン率の情報提供義務を課すに止めて、上限規制を設けていないため、派遣労働者の低賃金を是正し待遇を改善することにはならない。

4. 派遣先に仕事があるときだけ雇用される登録型派遣については禁止の方向とはせず、派遣元事業主に対して、直接常用雇用を促進するなどの努力義務を課しているにすぎない。

この他、全体として抜本改正には程遠い極めて不十分な内容となっている。

したがって、今回の派遣法改正案は、ワーキングプアを解消し、派遣労働者の雇用と生活を安定させるものとはなっていない。

よって、当連合会は、派遣法改正案に反対し、国会に対し、拙速な審議、改正を避け、派遣労働者の雇用と生活の安定のための労働者派遣法の抜本的な改正を早急に行うことを改めて求める。

                                                               2008年11月6日
                                                               日本弁護士連合会
                                                               会長  宮ア  誠

 出典: 日本弁護士連合会のホームページ

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