トピックス          2008.10

 「首切り自由の使い捨て労働」 政治の責任にかけて許すな!
   労働者派遣法の抜本改正を!!
- 共産党・志位委員長が国会で追求 -

         トヨタ車体の違法行為追求!!
 ジャンプ

  トップページへ            トピックスの目次の頁へ

  【2008年10月7日、衆議院予算委員会での志位氏の追求概要】

 日本共産党の志位和夫委員長は10月7日、衆院予算委員会で質問に立ち、日本を代表する大企業が労働者をモノのように使い捨てにする一方で、違法行為によって派遣労働を永久に続けようとしている実態を生々しく告発し、違法行為の一掃と労働者派遣法の抜本改正を迫りました。 志位氏の追及に、与党議員も身を乗り出すように聞き入り、委員会室がたびたび静まり返るなか、麻生太郎首相も一定の前向き答弁をせざるをえませんでした。


パネルを示して質問する志位和夫委員長
=10月7日、衆院予算委
  違法を告発し職奪われる

  麻生首相 「極めて不当」

 志位氏はまず、日亜化学(徳島県) やキヤノン宇都宮光学機器などを例にあげ、偽装請負を告発した労働者が、違法な働かせ方を強いた企業によって職を奪われる事態が全国各地で起こっていることを首相に示しました。

 手首に大けがを負ったり、上司にののしられながらも必死に働いてきた労働者の悲痛な訴えを突きつけ、「こんな理不尽なことはない」 と力を込めた志位氏。 「労働者にはモノをいわせず、モノのように使い捨てる。 こんなことは許さないという決意が総理にあるのか」 と迫りました。

 これには 「個別の案件には答えられない」 と逃げの答弁を繰り返した首相も、「事実であれば、極めて不当だ」 と明言しました。

  世界のトヨタ… 期間制限偽装

 志位氏は世界一の自動車メーカーとなったトヨタグループの中核をなす 「トヨタ車体」 が、派遣の比率を高めることで労働コストを削減し、利益を186億円から224億円に増やしていることを告発。
(下のグラフ参照)

 さらに、最長3年の期間制限を越えて派遣労働を続ける違法行為を工場ぐるみで行っている実態を明らかにしました。

 トヨタ車体では、正社員と派遣労働者の配置換えを組み合わせて、3ヵ月と1日だけ派遣労働者のいない 「クーリング期間」 を形だけつくって、派遣労働を永久的に続けようとしています。

 志位氏は、これらの手口を具体的に示し、「これは直接雇用を逃れるための “期間制限偽装” だ」 「こんなことを許したら、派遣労働の期間制限は、全国どこでも何の意味ももたなくなる」 と述べ、ただちに調査に入るよう要求しました。 首相は 「(私の)職務とは違う」 などと調査を拒否する一方、「現実に照らして、法のもとに対応する」 と答えました。

 志位氏は、(1) 違法行為からの救済を求めた労働者の職を奪うことは政治の責任にかけて絶対に許さない、 (2) 違法状態で働かせていた場合には受け入れ企業の責任で正社員とする―― の2点を力説するとともに、労働者派遣法を1999年の原則自由化以前に戻すなど抜本改正を要求しました。

 そして、日弁連が 「労働と貧困の現状は人権侵害」 とする決議をあげるなど、人間らしい雇用ルールの確立が立場の違いを超えた国民的世論となっていることを示し、「日本共産党は、『首切り自由の使い捨て労働』 をなくし、『働く貧困層』 という社会的大問題を解決するまで、国民と手をたずさえて奮闘する」 と決意を表明しました。


 派遣のクーリング問題 労働者派遣法では派遣先企業が3年継続して派遣を受け入れることを禁じていますが、派遣の受け入れがない期間 (クーリング期間) が3ヵ月超あれば、新たに派遣を受け入れることができるとされています (厚労省の派遣先指針)。 3ヵ月の中断があれば派遣を続けることができるもので、派遣は臨時的なもので正規雇用の代わりにしてはならないという原則に照らして問題を持っています。

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん赤旗」 2008年10月8日付、     同党のホームページ
 【志位氏の質問と政府答弁の全文は 「しんぶん赤旗」 2008年10月9日付、同党ホームページに掲載。 動画も視聴できます】

  トップページへ            トピックスの目次の頁へ
                             この頁のトップへ


 【2008年10月7日、衆議院予算委員会で志位氏がトヨタ車体に関して追求した詳細】
 
    トヨタ車体の違法行為追求!!

 派遣を永久に使い続ける“労働者の配置換え”で規制逃れ!!



志位
 トヨタ車体の違法な派遣使いまわし―― これでは派遣が永久化される

麻生首相 現実に照らして、きちんと法の下に対応させる



  労働者派遣法の2つの原則――

     常用雇用の代替禁止と、最長3年の期間制限

トヨタ車体(株)の派遣労働者と経常利益の推移(グラフ=2005年から2008年までの比較)
志位 次にすすみたい。 大企業で横行している違法行為は、偽装請負だけではありません。

 そもそも労働基準法、職業安定法では、人貸し業はきびしく禁止されています。 そこで政府は、派遣労働を導入するときに、つぎの二つの条件を付けざるを得ませんでした。

 第一は、派遣は 「臨時的、一時的な場合に限る」、「常用雇用の代替―― 正社員を派遣に置き換えることはしてはならない」 という大原則であります。

 第二は、この大原則を担保するものとして、派遣受け入れの期間制限が設けられました。 すなわち、派遣期間は原則一年、過半数の労働者の意見を聴取した場合に、3年までという制限があって、期間制限を超えて同一業務をさせることは違法行為になるということであります。

 この二つの条件は、間違いありませんね。 これは厚生労働大臣に確認だけいただければ結構です。

舛添厚労相 いま、委員がおっしゃった、この臨時的、一時的な労働力の受給調整制度としてあるんだということと、常用雇用のうえの代替にしない、これもその通りでございますし、原則1年、最長3年ということも、これも委員のご指摘の通りでございます。

  トヨタ車体での派遣激増―― コスト削減を目的にした常用代替であることは明瞭

志位 確認いたしました。

 ところが、現実がどうなっているか。

 世界一の自動車メーカーとなったトヨタの実態を私は調べてみました (パネルを示す)。 これはトヨタのグループ企業のなかでも中核をなすトヨタ車体――、プリウスとかエスティマなどの完成車をつくっている大企業が、この間、どれだけ派遣労働者を増やしてきたかの推移のグラフであります。 (上のグラフ)

 2005年の2,516人から、2008年には5,739人にまで増やしています。 2倍以上に増やしています。 全従業員に占める派遣の割合は、16.5%から26.3%にまで増えています。 私たちが入手した内部資料がありますが、ラインによっては派遣の割合が5割から6割、7割というラインもあります。 トヨタ車体は、派遣の比率を高めることで、労働コストを削減し、利益を186億円から224億円まで大きく増やしました。

 私は、派遣労働者から直接話を聞きました。 こういう過酷な実態が訴えられました。 総理、お聞きください。

 「車のドアやボンネットなど重いものでは20キロから30キロもの大型部品を段ボールにこん包する仕事をしています。 多いときには1日1,000箱ものこん包作業となり、あまりの重労働のため腰痛で苦しめられています。 作業は、正社員とまったく同じ仕事ですが、給料は手取りで20万円、正社員よりはるかに低い。 さらに派遣会社が借り上げたアパートに住むと5万円以上が引かれ、手元には10数万円しか残りません。 アパートは、3LDKなら3人、2LDKなら2人の共同生活で、部屋はふすま1枚で仕切られているだけ、自分の部屋に行くにも、他人の部屋を通らないと行けないアパートもあります。 6ヵ月ごとの短期雇用契約を、くりかえし更新させられています」

 こういう訴えでありますが、こういう非人間的な労働と生活を強いられている派遣労働者が、トヨタ車体では、このグラフの通り、3年を超えて増え続けているわけであります。 このグラフをみれば、派遣労働者の導入が、臨時的・一時的な生産調整ではなくて、恒久的なコスト削減で大もうけをあげることを目的としたものであり、さきほど政府もお認めになった禁止されているはずの常用雇用の代替―― 正社員から派遣への大規模な置き換えであることは明瞭(めいりょう) ではないですか。 総理いかがでしょう。

厚労相 個別の企業にたいする指導監督状況は差し控えたいと思いますが、一般論で申し上げれば、最大3年の派遣受け入れ可能期間は、派遣先の就業場所ごとの同一の業務について判断するものでございますけれども、就業の実態から同一の業務であれば必要な指導を行うこととなります。 今後とも厚生労働省としては、就業の実態を踏まえて厳正的確に指導してまいりたいと思っております。


  トップページへ            トピックスの目次の頁へ                             この頁のトップへ


  トヨタ車体では、派遣労働者の奇妙な配置換えがおこなわれている

志位 このグラフからだけでも、私は常用代替は明らかだと思いますが、同一の業務かどうかの実態を踏まえてとおっしゃったので、つぎにすすみたいと思います。

 私は、この9月に、愛知県にうかがい、トヨタで働く労働者と懇談した際、トヨタ車体で派遣労働者の奇妙な配置換えが行われているという訴えを受けました。 あるラインでの配置換えを図にしたのがこのパネルであります。 (下のパネルを示す)

トヨタ車体ですすめられている配置換え(概略図)

 これを見ながら聞いていただきたいのですが、トヨタ車体ではラインごとに A直、B直 という2つのグループに分けて、昼夜2交代で仕事をしています。 A直が日勤の週は、B直が夜勤になる。 翌週はA直は夜勤、B直が日勤に入れ替わります。 A直とB直は、働く時間帯が1週間ごとに交互に変わるだけで、つくっている車も同じなら、ラインも、工程もまったく同じです。 つまりまったく同じ仕事をしています。

 このパネルを見ながら聞いてください。 赤い色が派遣社員、青い色が正社員など直接雇用です。 この9月までは、A直にもB直にも正社員と派遣社員がいました。 正社員が18人、派遣社員が14人です。 ところが、これが10月から組み替えられて、B直にいた派遣14人はすべてA直に移され、A直は派遣28人、B直は派遣がゼロとなりました。 移された14人の派遣を埋めるために、A直にいた正社員のうち14人がB直に移されました。 そして、3ヵ月と1日後の、来年1月からは、A直にいた派遣28人がまるごとB直に移され、A直は派遣がゼロになる。 それを埋めるためにB直にいた正社員のうち28人がA直に移されるといいます。 こういう配置換えは、全社的に行われているとのことでした。

 総理、いったいなんのためにこんな複雑な配置換えをやっていると思いますか。

厚労相 さきほど申し上げたように、個別の会社でどういうことが行われている、そこにどういう監督指導を行っているかは差し控えたいと思いますが、就業の実態をふまえて就業の実態から同一の業務であれば必要な指導監督を法に基づいて行います。

  もしこんなことを許したら、派遣労働の期間制限は全国どこでも意味がなくなる

志位 同一業務だったら必要な指導を行うということをいわれました。

 この問題について、トヨタ車体で働く労働者に聞きますと、9月に会社側から、つぎのような説明があったといいます。 もう一度パネルを見ながら聞いてほしい。

 「労働者派遣法との関係で、法違反をしないために配置換えを実施する。 最小の職場単位である 『直』 ごとに3ヵ月と1日、派遣を受け入れない期間をつくる。 最初の3ヵ月と1日は、派遣をすべてA直に集めて、B直は派遣をゼロにする。 続く3ヵ月と1日は、派遣をすべてB直に集めて、A直は派遣をゼロとする。 これをやればクーリングオフが成立し、法律がクリアできる。 これは全社 (富士松、刈谷、吉原、いなべ) で実施し、来年5月までに全社で完了する予定だ」

 こう説明したそうです。

 さきほど確認したように、派遣法制では、どんなに長くても、派遣期間というのは三年までとなっております。 ただし、期間制限いっぱいまで派遣を使ったとしても、3ヵ月と1日以上、派遣を受け入れない期間をつくれば、派遣受け入れを再開できるようになるとされています。 これがいわゆる 「クーリングオフ期間」 といわれるものです。

 トヨタ車体では、こうした配置換えを行えば、「クーリングオフ」 が成立し、三年を超えても派遣労働者を使いつづけることができるとしています。 私たちは、3ヵ月と1日だけ間をあければ、また派遣を受け入れることができるという 「クーリングオフ」 を認めること自体、問題であると考えていますが、仮にそれを認めたとしても、いったい、こんなやり方が合法的だと認められるのか。

 さきにのべたように、A直とB直は、働く時間帯が交互に入れ替わるだけで、つくっている車も同じなら、ラインも、工程もまったく同じです。 さきほど大臣は、実態をみて同一業務かどうか判断するといわれたけれども、まったく同じ仕事をしています。 私は、現場で何度も確認しました。 それを、こういう配置換えさえやれば、期間制限を超えても派遣の扱いを続けさせることができるというんですよ。 とんでもないことではないですか。 こんなことが許されたら、派遣労働者は、永久に、派遣という低賃金、「使い捨て」 の不安定雇用に苦しめ続けられることになります。

 派遣法では最大3年という期間制限があり、それを超えたら直接雇用を申し出ることが義務づけられている。 それが何の意味もなさなくなるではありませんか。

 これはトヨタ車体ぐるみの明白な違法行為ではないか。 直接雇用を逃れるための、“期間制限偽装” ではないか。 こう考えますがいかがですか。

厚労相 さきほども申し上げましたように、実態をきちんとふまえて、法に基づいて、厳正、適格なる指導を行いたいと思います。

志位 総理にうかがいたいのですが、これはたいへん重大な問題ですよ。 昼夜2交代で、働いている場所も同じ、つくっているものも同じ、仕事もまったく同じであっても、こういう配置換えさえすれば、「クーリングオフ」 が成立して、3年という期間制限をこえて派遣のまま使いつづけることができるなどということが、もし仮に許されたら、いったいどうなるか。 昼夜2交代というのは、全国どこでも製造現場で当たり前に行われていることであります。 もしこんなことを許したら、派遣労働の期間制限は、全国どこでも何の意味もなさなくなるではありませんか。 これはたいへんな問題だと思いますが、総理いかがでしょう。

首相 いま舛添大臣からもご答弁申し上げましたとおり、同じことしか申し上げられませんが、これが仮に現実ということになるのであれば、その現実に照らして、きちんと法の下に対応をさせていただくということになろうと存じます。

志位 それが現実であるとするならば、これは現実ですけれども、こういうやり方は許されない、こういう配置換えで 「クーリングオフ」 なるものが成立したとして、派遣労働者をずっと使い続けるというやり方は許されないと、はっきり言っていただきたい。 総理、はっきり言っていただきたい。

厚労相 委員ご指摘の問題、いわゆる 「2009年問題」 といわれているものでございまして、最大3年の派遣可能期間満了後は、指揮命令が必要な場合は直接雇用に、そうじゃない場合は請負によるとすべきであるということでありまして、この基本的な考え方は、各事業主団体にたいしても、きちんと対応するように、9月26日、局長通知を発出して要請をしたところでございます。

志位和夫委員長(左)の質問に答弁する麻生
太郎首相
(中央)   =10月7日、衆院予算委
 そういうことで、直接雇用または請負は、いわゆる、さきほどご指摘のありましたクーリング期間、3ヵ月を経過後、再度の労働者派遣の受け入れを予定することなく、適切に行われるべきものであると考えて、この方針を貫徹すべく、就業の実態をきちんと踏まえて、法に基づき的確な指導を行いたいと思っております。

志位 「クーリングオフ」 の後に、再度の派遣労働者 (の受け入れ) を予定することなくと、直接雇用あるいは請負に (すべき) というのが方針だというふうに言われましたけれども、現場はそうなっていないんですよ。 現場は。

 トヨタに調査に入り、違法状態があればただちに是正せよ

志位 トヨタは、世界規模の超巨大企業であります。 総理は、経済財政諮問会議の 「民間議員」 にトヨタ会長の張富士夫氏を内定したとも伝えられました。 そういう企業が、人間らしい雇用の責任を果たしていない。 社会的責任を果たしていない。 派遣労働、期間社員など、「使い捨て自由」 の労働を大規模に導入し、正社員のなかでは 「過労死」 を生み出す長時間・過密労働を強制し、そのうえに年間2兆円もの空前のもうけをあげてきたことは、きわめて重大です。

 今日の質疑でも、少なくともトヨタが、常用代替、期間制限違反など、違法行為を行っている疑い、重大な疑いが浮き彫りになりました。

 総理に求めたいのですが、トヨタに調査に入ってください。 調査に入って、違法状態があればただちに是正する、そのことを関係省庁に指示していただきたい。 総理。

首相 内閣総理大臣の職務とはちょっと違うんじゃないかと思いますけれども。 厚生労働省所管の話なんだと思いますんで、ちょっと私に言っていただくのはいかがかなものかと。 まず、法律的、法体系としてはそう存じます。

 それから、トヨタ車体とトヨタ自動車とはこれは別法人、トヨタ車体というのはよく知らないんですが、ちょっと個別で恐縮ですけれども、トヨタ自動車、トヨタ車体とは、どういう法体系とか、また、会社の法人格になっているかを、ちょっとよく存じあげませんので、ちょっと何とも申し上げられませんが、少なくとも、さきほど舛添大臣が申し上げましたように、法に基づいて、きちんと対応させていただくというのが正しい答えなんだと存じます。

志位 トヨタ車体というのは、トヨタが半分以上の株主の権利を持っているグループ企業ですよ。 ですから、直接トヨタの本体との関係でも、トヨタの本体が直接の責任を負っているグループ企業です。 しかも、その中核的な企業です。 そういう中核的企業がこういうことをやっている。 ですから、これは、少なくとも、重大な法違反の疑惑があるわけですよ。 疑いがある。 それに、あなたは、自分の仕事じゃないと言ったけれども、こういう重大な法律が違反されているんだから、そういう疑惑があるんだから、それを、舛添さんに調査しなさいというのは、総理大臣の当然の仕事ではないですか。 調査をしろとも言えないんですか。 もう一度聞きます。

厚労相 個々の企業にたいしてどういう指導監督をするかはつまびらかにできませんが、法律に基づいて、就業の実態をきちんと踏まえたうえで、厳正に、そして的確に対応したいと思います。

志位 調査に入るということを約束できないところが情けないですね。 トヨタという言葉が出ると、みんなおびえて、調査も言えないのか。


  トップページへ            トピックスの目次の頁へ                             この頁のトップへ



志位 現に派遣として働いている労働者の状態を良くするという基本的姿勢で対応せよ

首相 派遣元・派遣先の双方に必要な処置をとるように指導する



  無法による被害者にいっそうの被害をあたえることは、政治の責任にかけて許すな

志位 
今日は、私は、大企業のなかでの違法行為にたいして、政治がどういう責任を果たすべきかについてただしてまいりました。 違法状態の是正をはかることは当然ですが、総理に、私が強く求めておきたいことが二つあるんですよ。

 一つは、違法状態を是正することで、逆に、現に働いている派遣労働者が職を失ったりすることを絶対に許さないことであります。 日亜化学やキヤノン宇都宮光学機器では、偽装請負の是正はしたけれども、救済を求めた労働者は逆に職を失った。 松下プラズマでも雇い止めが行われようとしています。 無法による被害者に、いっそうの被害をあたえるようなことは、政治の責任にかけて許すべきではないと思います。

 いま一つは、違法状態で働かせていた場合には、受け入れ企業は、期限の定めのない直接雇用―― 正社員にすることを原則とすべきだということです。

 私が、2月の質問でとりあげた具体例のうち、日立のグループ企業で、期間制限を超えて五年間にわたって派遣で働かせられていた労働者の問題を、二月の委員会でとりあげました。 そのとき舛添大臣はこれは違法だとはっきりおっしゃいました。 質問の後、会社側からこの労働者に、女性の労働者ですが、正社員採用の申し出があって、正社員になりました。 これが当たり前の姿だと私は思うんですよ。

 ところが、私が2月の質問でとりあげたキヤノンは、その後どうなったか。 6月末に、私が滋賀県・長浜キヤノンに直接調査に入ったところ、本社の専務取締役が対応し、「製造派遣は年内に解消する」 と約束はしました。 これは一歩変化です。 しかし、「請負または期間社員に置き換える」 ということが方針だという答えでした。 期間社員はどうなっているかと聞きますと、最初は5ヵ月、その後は6ヵ月ごとの契約更新を繰り返したのち、最長でも2年11ヵ月で雇い止めするという。 これでは 「首切り自由の使い捨て労働」 という問題は解決しません。

 どんな対策も、私が本当に求めたいのは、現に派遣として働いている労働者の労働条件が良くならなければ何の意味もありません。 違法行為からの救済を求めた労働者の職を奪うことは絶対に許さない、違法状態で働かせていた場合には受け入れ企業の責任で正社員とする―― そうしてこそ違法はなくなりますし、安定した雇用が保障されるのではないでしょうか。 政府は、そうした基本的姿勢でこの問題に対応すべきだと私は考えますが、総理の見解をうかがいたいと思います。

首相 
あの、たびたびこれはこれまでの方も答弁されたんだと思いますが、いわゆる派遣労働者の雇用が失われることのないように派遣元ならびに派遣先双方の企業にたいして必要な処置をとるように指導をするということでありまして、舛添大臣のほうからもたびたびお話を申し上げているとおりであります。 引き続き適正な運用が行われるように指導していかねばならんと考えています。

  労働者派遣法の抜本改正を求め、「働く貧困層」 の解消までがんばりぬく

志位 
日本共産党は、労働者派遣法は、1999年の原則自由化前に戻し、最も不安定な働かせ方である登録型派遣は原則禁止するとともに、違法行為があった場合は受け入れ企業に正社員化の義務を負わせる、抜本的法改正を求めます。

 わが党の主張は、いまや立場の違いをこえた国民的世論になっております。 10月3日、日本弁護士連合会は、「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人が人間らしく働き生活する権利の確立を求める決議」 を発表しています。 そのなかで、「労働と貧困の現状は、本来人々が生まれながらにして享有している人権を侵害するものであり、もはや看過できる状況ではない」 とのべ、「国は、非正規雇用の増大に歯止めをかけワーキングプアを解消するために、正規雇用が原則であり、有期雇用を含む非正規雇用は合理的理由がある例外的場合に限定されるべきであるとの観点に立って、労働法制と労働政策を抜本的に見直すべきである」 とのべております。 総理は、日弁連のこの提言を正面から受け止めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

首相 
あの、今のお話ですけれど、登録型の派遣というのはすでに230万人ぐらいの方々に利用されていると理解をいたしております。 いまのお話をうかがいますと、これを抜本的に改めるという話ですけども、これはかえって労働者の不利益にならせんかなという感じが率直な感じがいたします。 平成11年の原則自由化以前に戻すということは適切ではないのではないかと。 これは前にも申し上げたと思いますが、そのように思っております。 また労働者派遣法につきましては、労働者の保護を強化するという観点から、日雇い派遣を原則禁止するとともに違法派遣を受け入れた派遣先にたいし、その労働者の雇用を促す制度を創設するなどの改正を行うとしていると理解をいたしております。

志位 
登録型派遣を原則禁止にするとかえって不利益になるといいましたけれど、さきほどのトヨタの派遣労働者の生活実態、あれがまさに登録型派遣という細切れ (契約の) 派遣の実態なんですよ。 この非人間的な労働をやめて、そして正社員に移し変えるべきだと (主張している)。

 日本共産党は、派遣であれ、請負であれ、期間社員であれ、「首切り自由の使い捨て」 労働を、日本からなくしていく。 そして、「働く貧困層」 という社会的大問題を解決するまで、国民と手を携えてがんばりぬくという決意を申し上げて、質問を終わります。

 出典: 日本共産党発行の 「しんぶん赤旗」 2008年10月9日付、     同党のホームページ (動画も視聴できます)

  トップページへ            トピックスの目次の頁へ                             この頁のトップへ