電機大手8社の2008年3月期連結決算は、最終的な利益を示す純利益で、ソニーがトップになりました。 「リストラ効果」 を競い合った結果です。
1万人を削減
ソニーは、純利益が前期比2.9倍の3,694億円と、10期ぶりに過去最高を更新。 松下電器産業の2,818億円を上回りました。
ソニーは、営業利益を約5.2倍に伸ばしました。 デジタルカメラやパソコンなど主力の電機部門が急回復。 合わせて、3ヵ年の 「構造改革」 断行が利益を押し上げました。
コスト削減は目標の2,000億円を上回り、1万人の人員削減を1年前倒しで達成。 11工場を統廃合し、資産売却も1,200百億円にのぼりました。
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各社は薄型テレビを競い合い=東京都内 |
売上高は、日本、米国、欧州、アジアなど他地域が、それぞれほぼ4分の1ずつ。 圧倒的に海外に依存しています。
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松下は純利益を3割増やし、ソニーに迫ります。 リストラで典型的なな 「V字回復」 を果たした松下。 この1年間をみても、従業員を国内外で2万2,817人 (うち国内9,855人) 減らしました。 販売では、薄型テレビやデジタルカメラのほか、白物家電でも北米を除いて好調でした。
一方、日立製作所は、売上高では過去最高を記録したものの、最終損益は2年連続赤字。 不振のテレビ関連事業の損失処理をしたためです。
東芝、シャープは売上高は過去最高でしたが、東芝は半導体メモリー価格の下落、シャープは液晶テレビの価格低下で営業減益となりました。
原発ビジネス
各社とも2009年3月期は、製品価格の下落に加え、米国景気の減速や円高、原材料の値上がりの影響を警戒しています。 共通するのは、コスト削減のさらなる徹底による収益確保です。 社会問題化した 「偽装請負」 など雇用悪化や下請け・取引企業へのしわ寄せが懸念されます。
「環境」 に名を借りた原発ビジネスに活路を見いだそうとする企業もあります。
日立は 「安定的高収益」 の追求として、国内外での原発事業の受注と海外での石炭火電事業に力を入れる方針です。
東芝は2015年度までに33基の原発受注を見込んでいます。 世界の原発新設需要は30年までに156基に相当すると予想。 東芝の原発事業規模は20年度には1兆円
(現約5,000億円) になるとしています。
原発は安全性が確立されておらず、いったん事故が起きれば、人命や環境への影響は計り知れません。 利益優先の危険な環境ビジネスです。
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