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東芝2006年株主総会に出席して

株主総会の様子、質問と東芝(会社)の回答、私見 … 
                                           2006年6月 弘本

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 (a) 東芝2006年株主総会の様子
 (b) 質問に対する 東芝(会社) の回答と、私見
 (c) 私が事前に提出した文書質問

 
  東芝2006年株主総会の様子
                                          2006年6月   弘本圭右

(1) 日時 2006年6月27日(火) 10時〜12時10分  (うち、質問・回答:約1時間20分)
(2) 場所 東京国際展示場 (東京ビッグサイト)
(3) 出席者 約1,500人

 1. 西田社長が挨拶して議長になる。

 2. 事務方による総会成立報告。

 3. 西田社長が、空港設備談合、原発流量計データー改ざん事件について謝罪。

 4. 営業報告はスクリーンを使用して録音で説明。 今後の課題は社長が直接説明:中期経営
   計画での売上げ増、設備投資、研究開発等について。

 5. 主な質問と答弁(文書事前質問への答弁後は、挙手しての質問:議長が指差し)

  5‐1 ユビキタス時代の製品マップについての文書事前質問。

<答弁> 家電商品・放送通信ネットワーク、光ブロードバンドへの取組み。

     
  5‐2 弘本等の文書事前質問への <答弁> …別記による。

  5‐3 青梅事業所門での手荷物検査への文書・挙手質問 (東芝従業員でない由の発言)。

<質問> 毎日、門で手荷物検査をするのは人権問題でもあり、職場でチェックすれば良いのではないか。

<答弁> 欧米の大企業では当り前のことで、合理的な措置である。 機密漏洩と盗難が繰り返し起これば、大きな問題となる。 従業員を無視してやっている訳ではない。

  5‐4 鈴木氏の川崎市にある小向工場での爆発・火災事故についての挙手質問。

<質問> 昨年7月に爆発・火災がおき完全鎮火に30時間もかかった。 煙と悪臭が数キロも流れ、小学校では窓を閉めるなど地域に害をもたらした。
この事故の (1) 東芝の経済的損失はいくらか、
        (2) 事故の責任を明らかにしたのか、
        (3) 原因と対策を社内・社外に公表したのか。

<答弁> 損失については保険に入っていたので軽微だった。 責任問題は社内では済んでいる。 原因調査と対策は監督官庁と共に行い報告済である。

  5‐5 ウェスチングハウスの買収のリスク、核廃棄物への危惧。

<答弁> 買収額は15〜20年で回収。 地球温暖化防止のため原発は必要等。

  5‐6 SEDテレビの発売がおくれているのはなぜか。

<答弁> 2008年の北京オリンピックに間に合うように製品発売の予定。

  5‐7 HD−DVDとブルーレイ・ディスクは規格を統一すべきだ。 不毛の競争になる。

<答弁> HD−DVDの方にメリットがある。 機会があれば統一規格をめざしたい。

 6. 定款の説明・採択。 買収防衛策の提案・採択。

 7. 役員の退任。新役員の選任。 新役員の紹介。

                        12時10分に閉会

  なお、土産は “電球形蛍光ランプ4個” でした。 希望者にサンドイッチ軽食あり。

                                                    以上



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  東芝2006年株主総会への質問と東芝の回答、及び私見
                                         2006年6月   弘本圭右

 1. 第一の質問は原子力発電所向け流量計の試験データ改ざんについてです。

<東芝の回答> 東電より一部を除き指名停止を受けていることは事実である。 経営責任については社長と役員3名が報酬の30%を3ヶ月返上する。 再発防止策としては2005年12月以降、流量計の試験を品質担当が実施している。 コンプライアンス(法令遵守) 教育を再徹底する。 対処療法的対策でなく道義的立場に立って意識改革し、東芝グループ行動基準に則った誠実な企業活動を行う。

<私見> 「法令遵守を再徹底する」 との答弁ですが、教育資料に 「社外秘」 が記載され、公表されていないという秘密体質がいまだにあり、誠実な対策とはいえません。

 2. 第二の質問は東芝マイクロエレクトロニクスセンターの不払い残業についてです。

<東芝の回答> 当局から指導を受けたのは事実である。 指導に基づき既に適正に是正しており、支払金額も経営に与える影響も小さい。

<私見> 不払い残業があったことは認めましたが、法令違反への反省が全く見られませんでした。 また未払い残業の対象者数、支払金額、再発防止策についての答弁がなく不誠実でした。

 3. 第三の質問は東芝による賃金・資格差別の是正申し立てについてです。

<東芝の回答> 現在、東京地方裁判所および神奈川労働委員会で係争中であり、会議(株主総会) の目的に関係ないのでコメントは差し控える。

<私見> 2004年の株主総会での 「不当労働行為は行っていない」 との強弁ではなく、昨年と同様にコメントを控えましたが、相変わらず早期解決に背を向けています。
「会議(株主総会) の目的に関係ない」 との答弁は法令遵守への理解のなさを露呈しています。 東芝は神奈川労働委員会、中央労働委員会の差別是正命令に従っていません。 「東芝グループ行動基準」 にある 「法令遵守」 を誠実に実行しているか否かは、株主総会で取上げるべき大事な事項です。

 4. 第四の質問は不当労働行為実行組織 「自己啓発の会」 についてです。

<東芝の回答> 従業員の自発的活動については関知しかねる。

<私見> 会社(東芝) が公安警察官を雇って育成している不当労働行為実行組織である事実を認めようとしない答弁でした。 賃金・資格差別の早期解決の取組みと同時に、より具体的な 「自己啓発の会」 の違法行為を全国的に、国際的に明らかにして企業の社会的責任を追及する取組みが必要だと感じました。

 【追記】

 「東芝2006年株主総会の様子」 に記載してある鈴木氏の小向工場での爆発・火災事故についての挙手質問に対する <東芝の回答> への <私見> です。

<私見> 東芝が周辺地域住民や従業員に対して多大な被害を及ぼしたにも係らず、謝罪の言葉がなく社会的責任を感じているのか疑問をもちました。 また、事故原因と対策を社内、社外に公表していないのは誠実な対策とはいえません。

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  私が事前に提出した文書質問



 株式会社 東芝 取締役社長 西田 厚聰 殿

              (株)東芝 第167期定時株主総会への文書質問

                                        2006年6月19日
                                        株主番号・・・・・   弘本圭右

 東芝は2004年1月に国連グローバル・コンパクトに参加しました。 そして、東芝の 「人権・労働・環境」 に関しての実践がこれまで以上に国際的にも問われることになりました。 「東芝グループ行動基準」 にあります 「法令の遵守はもとより、基本的人権を尊重し、差別的取扱い等を行いません。」 等に関して質問致します。

 1. 第一の質問は原子力発電所向け流量計の試験データ改ざんについてです。

  1−1  原子力事業については、東京電力から無期限の指名停止処分をうけている由の情報がありますが、事実なのでしょうか。 事実であれば、原子力事業に携わる従業員にいかなる影響が出ているのでしょうか。 経営者の責任は非常に重いものですが、如何なる経営責任が取られたのでしょうか、お答え願います。

  1−2  再発防止のために如何なる対策が講じられているのでしょうか。 その対策内容は公表されているのでしょうか。 公表するのが社会的責任だと考えますが、お答え願います。

 2. 第二の質問は不払い残業についてです。

   東芝マイクロエレクトロニクスセンターでは、川崎南労働基準監督署の立ち入り検査で 不払い残業是正の指導を受けた由の情報がありますが、事実でしょうか。
   事実だとすれば、京浜事業所での不払い残業に続く法令違反です。 未払い残業の対象者数、支払い金額、再発防止策を公表すべきだと考えますが如何でしょうか。 お答え願います。

 3. 第三の質問は東芝による賃金・資格差別の是正申し立てについてです。

   東芝による不当な差別を是正させるため、1995年に10名が神奈川県労働委員会に差別是正の申し立てを行いました。 東芝の秘密報告書、東芝扇会資料など豊富な証拠で立証され、2001年に神奈川県労働委員会、2004年に中央労働委員会が東芝に対して不当な差別を是正するように命令しました。 しかし、東芝は差別是正命令に従ってはいません。

   早期解決のため新たに申し立てた9名についても神奈川県労働委員会で、もうすぐ東芝にたいしての命令が出ると思います。 又 「東芝の職場を明るくする会」 の会員が、昨年ニューヨークの国連本部前などで、NPT再検討会議に参加した世界中の人々に、東芝の人権侵害、差別を報告し支援を呼びかけ、大きな手ごたえを得ました。

   昨年6月には早期全面一括解決をめざす 「東芝争議支援共闘会議」 が全労連、神奈川労連、東京地評、学者等の幅広い支援も得て結成され、全国で早期解決のため東芝を包囲する運動を展開しています。 このままだと、CSR(企業の社会的責任) を守らない、東芝の言行不一致が全国的、国際的に明らかになり、社会的信頼を失い企業評価が低下することは明らかです。 東芝はCSRに則って早急に解決すべきだと考えます。 西田社長の見解をお尋ね致します。

 4. 最後の質問は不当労働行為実行組織・「自己啓発の会」 についてです。

   「自己啓発の会」 は 「東芝扇会」 が名前を変えた組織で、従業員の動向調査や労働組合役員選挙対策などの不当労働行為をしています。 国連グローバル・コンパクトの 「人権侵害、差別をしない」、「法令の遵守」 にも違反しています。 「自己啓発の会」 を解散させ、“法令を遵守する体制づくり” をすべきだと考えます。 西田社長の見解をお尋ね致します。

                                                     以上



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