田中G長に対する申立人側の反対尋問では…
まず、購入用図面の作成業務に関して、申立人(塩田さん)側の弁護士は、“塩田さんは納期を守らないし、納期の意識が低い”、“業務改善の意欲が認められない”
等々、会社側証人が前回主張した点について、「希望納期」 の意味と、塩田さんの図面作成日、課長決裁日等を書証にもとづいて時系列的に詳しく証人に確認して行きました。
結局、塩田さんが関係部署と協議しながら何ら問題なく業務を遂行していたことを、証人は認めました。
また、業務の改善について、塩田さんが、例えば設計部門や発注先のメーカーと協議し部個品マスターに種別記号を入力するだけで発注ができるように改善したこと、あるいは早期発注を可能にした工夫、大きなコスト削減を図ったことなど、具体的に示しました。
それらについて、証人は 『 塩田さんがやっていたことは認めます。』 と証言しました。
さらに、塩田さんが 5級の改善提案で工場長表彰を受けたことについても、自己申告書の 「表彰欄」 に表彰歴を記載するようになっており、申立人側弁護士が、『
処遇・考課に反映されるものでしょ?』 との質問に、『 考慮することは事実です。』 と証言しました。
申立人(塩田さん)に対する会社側の“あらさがし”は崩れ、差別の実態が明らかになりました。
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橋之口課長に対する申立人側の反対尋問では…
会社側が “申立人(石川さん)は普通の溶接技能しかない” 旨主張していることについて、申立人側の弁護士が、『 本体胴の溶接の職場に入ってきた○○さんや△△さんに仕事を教えたのは誰ですか?』
との質問に、『 石川さんです。』 と証言し、後進の指導を石川さんに任せていることを認めました。
また、『 サブマージアーク溶接に当たって各パス目をどこまで整形、切削・手入れをするかなど、作業者の判断が必要になりますね?』 との質問に、『 作業者の判断にまかせないために 「ポイントマップ」 を作った。』 と、それによって既に誰でも微妙な判断なしで溶接ができるようになっているとの印象を与えるような証言をしました。
すかさず、申立人の石川さんが自ら質問に立ち、『 それは初めて聞きましたが、その 「ポイントマップ」 は私のところにまだ届いていません。いつ作ったのですか?』
と質問。 『 最近ですから、まだ届いていないと思います。』 と証言。傍聴席から笑いが起きました。
さらに、石川さんが溶接について多くの経験と資格をもっていることの証拠を示され、『 はい、社内資格を持っています。経験したことがあるとすれば、そうだと思います。』
と、認める証言をしました。
しかし、あくまでも、『 石川さんの技量は普通であって…。』 と固執しました。そこで、『 歴代の作業長は石川さんの技量を高く評価していますが、聞いてみましたか?』 との質問に、『 聞いていませんが、そうだと思います。』 との証言。
次に、会社側が “石川さんは業務改善に意欲的でない” と主張していることについて、石川さんが中心になって職場の人たちと改善した中の8項目の具体的な資料を提示し、それぞれについて
『 知っていますか?』 と質問しました。
幾つかについては、『 見たことがあります。』、『 知っています。』 と証言する一方、『 覚えていません。』、『 記憶にありません。』、『 ○○製造長と△△さんが主にやったと聞きました。』
と証言。
『 石川さんが改善したのは具体的にどれとどれですか?』 と質問され、『 わかりません。』との証言で、審査委員長から 『 これら8つの改善について誰がやったかを調べたのですか?』
と質問され、『 いえ、具体的には調べてません。』 と証言。
石川さんの様々な業務改善の実績を否定することができませんでした。
最後に、石川さんに対する評価について、『 フィードバックの面接で石川さんが “どこをどのように改善したら私の評価をあげてもらえるのですか?” と聞いたのに、“相対評価だ” と繰り返すだけで、それではフィードバックの意味がないのではないですか?』 と質問されたのに対し、具体的な証言はありませんでした。
そして、同じ年に鶴見工場訓練校を卒業した27人のうち、役職になっていないのが石川さんだけという資料を示され、『 “石川さんは普通の平均的な技量しかない”
と言っていながら、27人中27番目という最低の評価になっているのは、どう考えてもおかしいではないですか?』 との質問に、何も答えることができませんでした。
会社の不当な差別以外の何ものでもないことが、疑問の余地なく明らかにされた尋問でした。
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和泉副所長、及び 仁木参事に対する申立人側の反対尋問では…
申立人(佐藤さん)側の弁護士が、『 タイ国発電所△△ガスタービンのメインの生産管理は誰ですか?』 との質問に、会社側証人は『 わかりません。』と証言し、タイ国発電所の△△ガスタービンのほか、GT○○ガスタービン、◇◇ガスタービンの業務分担の具体的な証拠を示されて、『 佐藤さんがメインだと認められます。』 と証言しました。
また、“ 佐藤さんが作成した日程表は前任者が作ったもののほとんどを単にワープロ化しただけ。” との主張について、まったく異なる両者の日程表を示され、『
佐藤さんが作成した日程表には、前任者が作成した日程表の素材入荷日を修正してあり、類別も整備されて更に製作の詳細工程が8ページ追加されているが、それでも
“単にワープロ化しただけ” というのですか?』 と質問され、『 前任者が作成した日程表の類別は約380なのに、佐藤さんが作成した日程表の類別は500以上に増えているし、製作の詳細工程表を前任者は作ってませんので…。』
と、“単にワープロ化しただけ” という主張を事実上ひるがえさざるを得ませんでした。
そして、佐藤さんが実際に詳細に消し込みフォローした日程表の証拠により、『 佐藤さんの業務遂行はよくやっていると認められますね?』 と質問され、『
その通りです。』 と証言しました。
さらに、『 佐藤さんが提案したワイヤーカットを採用し製作したノズルは2種の試作ガスタービンに採用(応用)されましたか?』 との質問に、『 そうです。』 と証言し、佐藤さんのすぐれた業務遂行能力と積極姿勢を認めました。
一方、佐藤さんが◇◇火力発電所のガスタービン本体工程の大幅な遅れを見つけて対策したことについて、会社側は前回尋問で何とか佐藤さんの実績ではないかのように、“佐藤さんには本来業務に支障が出ない範囲で5ヶ月間だけガスタービンの関連業務の一部を手伝ってもらっただけ”
と主張していました。 しかも、佐藤さんの上司を通さず、始めて会う佐藤さんに直接5ヶ月に及ぶ仕事の “簡単な手伝い” を依頼したというのです。
申立人側の弁護士に、『 東芝というところは、組織を無視して動き、業務を与えるのですか? ◇◇ガスタービンの工程表を見せて “手伝いを打診した”
と言うが、この工程表は誰が作ったものですか?』 と質問され、『 答えられません。工程表を誰が作ったかわかりません。』 と証言。
作成日も入った工程表や、経緯をメモした佐藤さん所有の手帳を証拠として示し、『 “手伝いを打診した” という期日の半年以上も前から既に佐藤さんは◇◇火力発電所の業務にかかわっていて、工程の大幅な遅れを見つけて関係者に話して、その後GPMから◇◇ガスタービンの工程管理をやるよう指示を受け、工程表も作成していたのです。 “手伝いを打診した時の工程表は佐藤さんが作成したものでしょ? “手伝ってもらった” という期間の後も佐藤さんは◇◇火力発電所の工程管理の仕事をしていることは明らかですね?』 と質問され、『 佐藤さんが作った工程表かも知れません。・・・』 と、動かぬ証拠の前に説得力のない証言に終始しました。
以上 (M記)
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