塩田さんに対する会社側の反対尋問では …
塩田さんが設計自動化システムの完成などで2回の工場長表彰を受けたことについて、会社側は、『 塩田さんの名前も入っているが、中心になったわけでもないし、あなたの特段の実績とはいえないでしょ?』
と、“塩田さんは単なる一員として加わっただけ” と印象づけようとする質問をしました。
それに対して塩田さんは、『 プロジェクトのみんなの複合的な力が発揮されたのが評価されたと思っています! 』 ときっぱり、自分を含めてみんなで協力して完成させた意義を強調しました。
また、塩田さんが5級の改善提案表彰を受けていることについても、会社側は、『 どんな内容なの? 』 と、これもたいしたことではないと言わんばかりの質問をしました。
塩田さんは、当時のパンチ・カードに記録された情報をすぐ取り出せるように改善した内容をくわしく説明し始めると、会社側は 『 まあ、いいです。』 と証言をさえぎるありさま。
社内では、5級の改善提案は “高級提案” と認められて工場長表彰されているのに、これも公益委員に “たいしたものではない” と印象づけたいとの思惑が見えみえで、私はあきれるばかりでした。
そもそも、工場長表彰を受けた人の役割を “たいしたことではない” と会社が言うこと自体が、表彰制度を設けている趣旨からみて矛盾しているではありませんか?!
さらに、会社側は、塩田さんが病欠したことを取り上げ、『 あなたは欠勤、遅刻があって評価が低いのではないですか?』 と質問。
塩田さんは、『 肺結核は、少し前までは “不治の病” といわれた伝染病で、自分の命の問題と向き合わなくてはならなかったし、他人に絶対うつすことのないように細心の注意をしながら仕事をやってきました!』 ときっぱり証言。
労働者側の弁護士は、『 塩田さんが出勤率100%の時期でも同期の人より資格、仕事給等級が5年も遅らされているのは、不当な差別以外の何ものでもないではないですか?!』
と、ずばり核心をついた再主尋問を行ないました。
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松本さんに対する会社側の反対尋問では…
会社側は、『 あなたは欠勤がありますね?』 と質問。
松本さんは、『 中国(旅行)に行くのに年次有給休暇を申請して行ったが、帰ってきてみたら欠勤扱いにされていたのです!』 と、会社の不当な扱いをきびしく告発しました。
また、会社側は、『 溶接の仕事は何年くらいの経験で一人前といえるのですか?』 と質問。
松本さんは、『 弁護士先生、溶接は奥が深いんです。 簡単に何年で一人前などと言えるものではないんです! 最近のテレビでも職人が “一生が勉強だ”
と言っていたが、私もその通りだと思って毎日仕事をしているのです!!』 と、溶接の難しさをずばり指摘しました。
これには、支援の傍聴者から大きな拍手が起きました。
さらに会社側は、『 あなたは海外出張してないですね?』 と、あたかも松本さんが海外出張するほどの技能を持っていないかのような印象を与えようとする質問をしました。
松本さんは、『 水力発電に関係している人は海外出張があるが、私のように原子力発電関係の仕事では海外出張の仕事そのものがなかったのです!』 と、事情の違いを明確に証言しました。
会社側は、多くの時間を、『 あなたが主事2級になるのに6年遅れているというのは何を根拠にしているのですか?』 とか、『 94年に同期の人で何人が昇格したのですか?』 などと質問を重ねました。
松本さんは、『 労働組合が出している資料を根拠にしているのです。一人ひとりに “あなたはいつ昇格した?” などと聞いて回れるわけがないでしょ?!』
と、職場の実態とかけ離れた会社側の質問の仕方に怒りをもって反論しました。
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石川さんに対する会社側の反対尋問では…
会社側は、『 訓練生を卒業した年にあなた以外にも社員2級にならなかった人がいたでしょ?』 などと質問。
石川さんは、『 私は社員2級にならなかった人を知りません!』 と明快に証言。
にもかかわらず会社側は、『 あなたより昇格が遅い人もいるでしょ? 名前の特定はできないのですか?』 などとしつこく質問。
石川さんは、『 松本さんもさっき証言したように、労働組合が出している資料に、何歳でどういう資格になるかをモデルであらわしてあります。それと比べるしかないです。一人ひとりに聞きだすわけにいかないですよ!』
と、比較の根拠を明確に証言しました。
これらの尋問をめぐって、労働者側の弁護士は、『 同期同学歴の人の資格や仕事給等級のデータは当然会社が持っているのだから、こんな質問を繰り返さないで、データを会社が出せばはっきりすることではないですか。会社はデータを出してください!』
と強く指摘しました。
このことでは、労働委員会の公益委員も “データを会社が持っているなら出せませんか” という趣旨の発言をしていました。
これは当然のことだと思いました。
前後しますが、会社側は、『 圧力容器の数が少なくなったから、ボイラー溶接士が減っているのでしょ?』 などと質問。
石川さんは、『 いいえ、定年やリストラで他の部門に移される、しかし補充はないからです!』 と、職場の実態を証言。
さらに会社側は、『 △△さんは表彰されていますね?』 と質問。
石川さんは、『 私は他に劣らないようにやっていると自負しています。表彰されないのはむしろおかしいと思っています!!』 と、差別に怒りを込めて反論しました。
私は、申立てた労働者を差別していないと会社が言いたいのであれば、会社が持っている同期同学歴者のデータを出して堂々と比較すればよいのに、それをしない会社の態度はまったくフェアでないと思いました。
以上
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