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【労働委員会命令の履行義務】 東芝は、2001年の神奈川地労委命令をはじめとする3度の労働委員会命令をまったく履行せず、長期にわたって労組法違反を続けています。これは、労働委員会命令の実効性を失わしめる行為であり、すみやかな是正指導を求めます。
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2. |
【不当労働行為を実行する秘密組織の解散】 東芝が、公安警察出身者を労務担当者として雇い入れて秘密組織「東芝扇会」の事務局を担当させるなど、会社が秘密組織を育成・活用のうえ従業員の個人情報を違法に収集し、申立人らのように労働組合の自主的民主的強化をめざして活動する労働者を差別し、組合活動に支配介入してきたことは不当労働行為であると認定されています。東芝は、このような秘密組織をすみやかに解散すべきであり、指導を求めます。
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3. |
【中央労働委員会労働者委員の公正任命】 厚生労働省は、中労委の労働者委員の任命にあたり「連合」独占という不公正任命を繰り返しおこなっています。いっぽう、東芝は秘密組織「東芝扇会」メンバーを労働組合役員にすべく組合活動に支配介入してきたところ、電機連合の推薦により第28期および第29期中労委労働者委員に「東芝扇会」メンバーが選任されるという異常な事態がおこっています。今後は、労働組合の組織状況を正しく反映し「全労連」「純中立」系の労働組合を含む公正任命をおこなうように求めます。
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4. |
【サービス残業の根絶】 東芝の多くの職場では、月40時間を超える長時間残業が常態化しています。その一方で、不払い労働やサービス残業が増加していますが、その大きな原因となっているのが裁量労働制の拡大、パソコンによる勤務時間の自主登録等であります。勤務時間管理の適正化を推進するためには、入退出門に入退出時刻を自動的に記録するシステム(JR駅改札口のSUICAのようなシステム)を設置すべきであります。また、裁量労働制を導入した場合にも勤務時間管理を適正におこない、勤務実態から乖離した見なし労働時間を是正する必要がありますので、是正指導を求めます。
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5. |
【偽装請負・違法派遣の根絶】 私たちは、昨年から偽装請負や違法派遣を根絶するために、所轄の労働局や労働基準監督署に是正指導を求めてきたところ、横浜市や川崎市に所在する東芝の各事業所に対して神奈川労働局の立ち入り検査が行われました。その結果、偽装請負が是正され派遣労働契約に切り替わったケースもありました。しかし、製造現場における請負労働では、いまだに東芝の指揮命令が行われ、東芝の設備を使用している偽装請負が見られます。また、契約期間の定めを無視した派遣労働も根絶されていませんので、引き続き是正指導を求めます。
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6. |
【偽装請負・違法派遣を前提とした雇用延長制度】 東芝の雇用延長制度は、満55才で東芝を定年扱い退職して、雇用延長の受け皿とされている子会社に転籍させることが前提となっています。即ち、満60才定年制を崩して定年年齢を満55才に切り下げること、満55才で子会社に転籍すること、転籍後の給与は一般職で6万円の減額、役職者で15万円が減額される仕組みです。その上、転籍後は、同一職場で(偽装)請負業務に従事することになっています。ところが昨年来の行政指導により、偽装請負の実態を是正せざるを得なくなり、派遣労働に切り替えました。しかし、期限の定めにない派遣労働の業種ではないため、派遣先企業である東芝が直接雇用する義務があるにもかかわらず、これをおこなわず違法派遣状態となっています。このような実態が生まれる原因は、東芝の雇用延長制度の仕組みにありますので、是正指導を求めます。
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【60歳定年制を前提とした雇用延長制度】 前項に述べたように、東芝の雇用延長制度は、満55才で東芝を退職することが前提となっており、人件費を削減する目的で60才定年制を崩すものとなっています。しかも、雇用延長制度の適用条件として、雇用延長制度適用前3年間の成績査定を基準としており、不当な成績査定の結果として雇用延長制度の適用を拒否されるケースがでています。雇用延長制度は、満60歳定年制の延長または満60歳定年制を維持したうえで60才以降の雇用を年金受給年令まで保障すべく、是正指導を求めます。
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【防衛生産職場における労働安全衛生対策】 2005年7月に、東芝小向工場(川崎市)にある地対空ミサイルや地対空ミサイル誘導用レーダシステム等を開発・製造する工場が全焼する火災が発生しました。この火災では、防火設備、消火設備、火災警報設備が正常に作動せず、約30時間後に鎮火するという大火災となりました。ところが、このミサイル工場は、2006年2月に「復旧宣言」して同年3月から運用再開されました。しかしながら、この間、火災発生の原因と再発防止対策が工場安全衛生委員会で検討・報告されず、爆発火災の原因(何が爆発してなぜ爆発に至ったか、なぜ消火設備が作動せず手を付けられない状態になったのか等)も発表されていません。このような実態は、防衛機密保全を理由として合理化できるものでは有りませんので、原因の究明と再発防止対策を公表し、設備管理の責任を明確にするよう指導を求めます。
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