労働者給与
(2010年2月5日)

賃金 最大の減少率 09年 現金給与3.9%マイナス

 厚生労働省が2日発表した2009年の毎月勤労統計調査(速報値、従業員5人以上の事業所)によると、基本給、残業代、一時金などを合わせた現金給与総額は、前年に比べ3.9%減と、3年連続でマイナスとなりました。減少率は、比較可能な1991年以降で過去最大となりました。

 内訳は、基本給が1.2%減、一時金が12.1%減、残業代が13.5%減。一時金と残業代の減少幅は、過去最大となりました。

 製造業における現金給与総額の減少率は7.1%で、全産業平均より大きくなっています。特に、30人以上の事業所で8.0%減と、規模が大きくなるほど落ち込みが激しくなっています。

 同時に発表された09年12月の現金給与総額は前年同月比6.1%減で、19カ月連続で前年を下回りました。
 このうち一時金は10.6%の減と、12月の減少率としては過去最大です。

 賃金の大幅な低下は、「国内需要」をますます減少させ、景気をさらに悪化させます。この悪循環を逆転させる賃上げが必要です。
出典:2010年2月3日(水)「しんぶん赤旗」

失業率
(2010年2月4日)

09年平均  求人0.47倍 過去最低に
失業5.1% 悪化幅最大 輸出大企業の「非正規」解雇が影響

 2009年平均の完全失業率の増加幅は過去最大となり、同年の平均有効求人倍率は過去最悪でした。完全失業率が急激な悪化となったのは、自動車、電機などの輸出大企業が主導した非正規雇用の労働者を「調整弁」とする激しい解雇・雇い止めによるものです。
 厚生労働省が29日発表した一般職業紹介状況によると、求職者1人に何件の求人があるかを示す有効求人倍率は、2009年平均で0.47倍と1963年に統計をとりはじめて以来の過去最悪でした。

 一方、総務省が同日発表した労働力調査によると、09年平均の完全失業率は5.1%となりました。02年の5.4%、03年の5.3%に次ぐ過去3番目に悪い水準でした。完全失業率の前年からの上昇幅は1.1ポイントと過去最大でした。完全失業者数も前年から71万人増の336万人で、増加幅は過去最大となっています。

 同時に発表された12月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の5.1%、有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の0.46倍でした。求職をあきらめる人の増加で数値は改善しているものの、最悪水準にあることには変わりありません。

 厚労省が同日発表した非正規労働者の雇い止めの状況によると、08年10月から10年3月までの失職・失職予定の非正規労働者数は、前月よりも6440人増えて25万6731人にのぼりました。

 仕事を失った非正規雇用の労働者で再就職できたのは54.6%にとどまりました。正社員の解雇も、100人以上解雇の事例をまとめただけで5万9846人と前月から2657人増加。依然として厳しい雇用情勢が続いています。

出典:2010年1月30日(土)「しんぶん赤旗」

失業問題
(2010年1月21日)

失業率低下の背景 求職あきらめる人の増加

 雇用情勢のあまりの厳しさに、求職活動をあきらめる人が増加傾向にあります。 このことが、完全失業率を低下させる役割を果たしています。

 労働力調査詳細集計の2009年7〜9月結果によると、所定期間に求職活動を しなかったため、失業者には含まれない人の中で「適当な仕事がありそうにない」 とする人は163万人で前年同期にくらべ15万人増加。このうち、「今の景気や 季節では仕事がありそうにない」としている人が前年同期比13万人増の22万人 となっています。こうした人たちの増加で、統計上では失業者数が減少することに なります。

 求職活動をしなかったなどで、失業者に含まれない人の中で、就業を希望して いる人は483万人です。これらの人たちを失業者と考えた場合の失業率は 11.9%にのぼります。
 通常のように完全失業率を計算した場合の5.4%の倍以上の水準になります。

 また、完全失業者のなかでも、「条件にこだわらないが仕事がない」とする人は、 前年同期比30万人増の51万人、「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」と する人が20万人増の61万人となるなど、雇用情勢は一段と厳しさを増してきて います。
出典:2010年1月12日(火)「しんぶん赤旗」

労働組合運動
(2009年12月13日)

労組組合員 1万3000人増  34年ぶり上昇 組織率は18.5%

  労働組合に入っている人は1007万8000人で、前年より1万3000人増えたことが、 厚生労働省が10日発表した労働組合基礎調査でわかりました。

 雇用労働者に占める割合(組織率)は18.5%で、1975年以来34年ぶりに前年を上回りました。 パート組合員が前年比8万4000人増の一方、雇用労働者総数が110万人も減ったことが要因です。 産業別では卸売・小売業や宿泊・飲食サービス業で大幅に増えました。

 調査は6月末現在で集計しました。

 主要団体別では、連合は683万2000人(前年比7万人増)、全労連は88万3000人 (同1万1000人減)でした。全労連は、地域組織に加盟している組合員を加えると120万人 になるとしています。

 全労連、連合はそれぞれ事務局長談話を発表しました。

 全労連の小田川義和事務局長は、「(組合員増の)到達点は労働組合運動の前進にとって重要な基盤 をなす」と強調。パートなど短時間労働者の組織化が大きな役割を果たしていることは今後の労働運動 の方向性を示しているとしています。

 連合の南雲弘行事務局長は、「組織率が上昇した点は評価できる」と指摘。調査開始以来初となる 100万人を超える雇用労働者数の減少について、雇用情勢の深刻さを反映しており、雇用の確保・創出 を強調しています。

出典:2009年12月11日(金)「しんぶん赤旗」

派遣問題
(2009年9月27日)

違法派遣・雇い止めに勝った! 東芝系企業女性労働者
   労働局に申告→正社員に

  名古屋市内の東芝系企業で派遣可能期間を超えて違法に働かされたうえに雇い止めを通告されていた 派遣社員の30代の女性が、9月から、同社に正社員として雇用されることが4日までに分かりました。 名古屋北部青年ユニオン(全労連全国一般)が明らかにしたもので、労働組合に入り労働局に申告して 勝ち取りました。

女性は、契約上は期間制限のない専門業務である「OA操作」となっていましたが、実態はコーヒー づくりや備品管理など庶務全般で働かされていました。派遣元のパソナから8月末での雇い止めを通告 されてユニオンに相談。「すでに3年の期間制限をこえて働いており、派遣先に直接雇用の申し出責任 がある」として8月12目、愛知労働局に是正指導を求めて申告しました。

   労働局は業務偽装を認定し、派遣先に雇用の安定を前提に是正を指導。これを受けて派遣先は8月末 、正社員として直接雇用を申し入れました。申告からわずか18日後、労働局から正式な文書指導が出さ れる前に正社員雇用を決断させました。

 同ユニオンでは同じく東芝系企業に業務偽装で派遣されてきた男性派遣社員が労働局に申告し正社員 して雇用されましたが、これを知った女性がユニオンに相談しました。

 ユニオンでは、「現在、決算期である9月末にかけて雇い止めの相談が殺到していますが、現行派遣 法のもとでもストップできる可能性を開いたものです。労働局や派遣先による素早い対応もこの間のた たかいが反映したものです」と話しています。

出展:2009年9月「しんぶん赤旗」

派遣問題
(2009年9月9日)

ハリソン東芝で派遣切りと闘っています!
           愛媛労連 近藤真紀

 私は、今治市のハリソン東芝ライティングで8年間働いてきた。会社の生産量激減を理由に3月末に派遣切り にあい540名とともに解雇された。2月末に商工会議所の再就職説明会の出口で、愛媛労連のビラを受け取って相談会に参加した。

 仕事を優先し、多いときは120時間の残業もこなし休日出勤もしてきた私たちは会社に対して反撃したいと思い、直接雇用を求め組合に加入した。5人が愛媛一般労働組合に加入しハリソン東芝分会を結成し派遣先派遣元と交渉した。

 労働局は申告に対して、偽装請負、違法派遣を認定し、直接雇用を推奨したが、企業の経営状況悪化を理由に指導できないと説明。企業は労働局に指導がないことを理由に直接雇用を拒んでいる。

 このことに納得できず、厚生労働省と交渉、「経営が厳しいから直接雇用を言えない」という方針は本省にはないとのことだった。  7月に集会を開いた。これからも直接雇用を求めて交渉を行っていく。秋の国会で労働者派遣法が抜本改正させることを求める。
 最後まであきらめずにがんばる。

出展:全労連第24回臨時大会2009年7月31日〜8月1日 議案討論の発言から

7月統計
(2009年8月29日)

失業率最悪 5.7%
求人は最低 0.42倍

 自民・公明政治のもとで、雇用破壊が止まりません。政府が28日発表した7月の雇用統計に よると 、完全失業率は5.7%と前月比0.3ポイント上昇し、過去最悪となりました。有効求 人倍率は0.4 2倍と過去最低を3カ月連続で更新しました。

 完全失業率は、「構造改革」の名で貧困と格差を広げた小泉自公政権のもとで記録した 5.5%(2 002年6、8月、03年4月)が、これまでの最高でした。麻生自公政権は、 世界的な経済危機のな か、いち早く「景気底打ち」宣言をしたものの、雇用悪化は一段と進み、 最悪記録を更新しました。

 急激な雇用悪化の特徴は、自動車・電機など輸出大企業が「派遣社員切り」「下請けへの仕事 切り」 などで、収益の持ち直しを図ったことです。非正規社員の失職は政府調査でも23万人 を超えました。 これを容易にしたのが、財界の要望に応えた労働者派遣の「原則自由化」 (1999年、日本共産党だ けが反対)や、自民、公明などが強行した製造現場への労働者 派遣の「解禁」(03年)でした。労働 者派遣法を抜本改正し、「『雇用は正社員』が当たり 前の社会」にすることが求められています。

出展:2009年8月29日(土)「しんぶん赤旗」

東武争議が解決
(2009年8月27日)

キャディーさん勝利
争議7年余 東武側が謝罪

 栃木県壬生(みぶ)町の宮の森カントリー倶楽部のキャディーら女性25人が、東武スポーツ (本社 ・東京)に対して正社員復帰と損害賠償などを求めていた争議で、会社側が労働者側に 謝罪し、解決金 を支払うことなどで和解し、7年余におよぶ争議は全面解決することになりま した。所属するJMIU (全日本金属情報機器労働組合)東武スポーツ支部が26日、宇都宮 市内で記者会見しました。

 同日、東武鉄道本社で東武スポーツの吉太郎社長は「労働条件の一方的な変更により、甚大 な不利 益と精神的苦痛を与えたことに心から陳謝する」とのべ、東武鉄道の竹田全吾常務取締役 も「団体交渉 に応じなかったことは、組合に不信の念を与えたので陳謝する」と親会社としての 責任を認めました。

 キャディー職としての雇用はクラブが会員制を廃止し困難になっているため会社都合で8月末 に退職 します。

 東武側は2002年、正社員から有期雇用に一方的に変更し、賃金を3割も減額。これに対し 労働者 が労働組合をつくって立ち上がり、裁判でも最高裁が7月、会社の上告を棄却し、労働者 側の勝利が確 定しました。

 記者会見で東武スポーツ支部の臼井道子執行委員長は「私たちの訴えが間違っていなかった ことが証 明されました。全国の支援と25人全員の団結の成果です」と語りました。

 組合と全労連やJMIUなどが出した声明は、労働条件の不利益変更を迫られ泣き寝入りせざ るをえ ない多くの未組織労働者を励ますものだと強調しています。

(写真)全面勝利解決の声明を発表する臼井執行委員長(前列中央)=26日、宇都宮市
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東芝の職場を明るくする会は、東武スポーツ支部の闘いを支援して活動しました。

出展:2009年8月27日(木)「しんぶん赤旗」

派遣・請負問題
(2009年8月23日)

NECが偽装請負
   熊本労働局 直接雇用推奨を指導

 熊本労働局は21日、熊本県錦町のNECセミコンダクターズ九州・山口(NECセ ミコン)の偽装請負を認定し、直接雇用を推奨する指導をしたことを申告した労働者に報告 しました。

 申告したAさん(30)=あさぎり町=、Bさん(54)=錦町=、Cさん(55)=あさ ぎり町=の3人と、熊本県労連、ローカルユニオン熊本が、熊本市の合同庁舎で記者会見して明らかにしたものです。

 三人は、請負の人吉市の運送会社にNECセミコン熊本錦工場で働くとして雇用され、 入社したその日から、NECの同工場で働いています。

 しかも、NECセミコンの正社員が指揮命令し、制服も正社員と同じ。解雇理由もNEC セミコ ンの生産縮小でした。熊本労働局は17日に直接雇用の指導をNECセミコンに伝え、 31日までの改善計画提出を求めています。

 記者会見でAさんは「ローカルユニオンに相談するまで、偽装とは知らなかった。違法な うえ解雇することに怒りを覚えてたたかう決意をした。大企業であるNECは社会的責任を果たすべきだ 。指導に強制力がないから直接雇用しなくていいという風潮ができてはいけ ない。同じ境遇の人たちのためにも、あくまで直接雇用を求めていきたい」と語りました。

 今回の偽装請負は、全部で4社が関係する複雑な雇用形態をとっていました。県労連では 「NECセミコンに直接被害が及ばないようにする姑息(こそく)な方法であり、企業の社会的責任に背を向ける行為。3人の雇用に直接責任を持つべき」と指摘。「元凶となった 労働者派遣法と労働法の規制緩和を反省し労働者派遣法を抜本から改正することを強く求 める」との声明を出しました。

出典: 2009年8月22日(土)「しんぶん赤旗」

労働力調査
(2009年8月22日)

非正規雇用 47万人減
   正社員も29万人の減

 総務省が18日発表した労働力調査(詳細集計)によると、2009年4〜6月期平均の 非正規雇用の労働者数は、前年同期比で47万人減の1685万人となりました。昨年秋からの 「非正規切り」の影響が顕著に現れています。

労働力調査  非正規雇用のうち、減少幅が大きいのは「労働者派遣事業所の派遣社員」の26万人減でした。 この数には登録型派遣の多くが含まれておらず、実際の削減数はさらに大きいことが予想 されます 。

 一方、正規雇用の労働者数も前期の増加から減少に転じ、前年同期比29万人減の 3420万人となりました。人員削減が、正社員にも及んでいます。

 雇用者全体に占める非正規雇用の労働者の比率は前期の33.4%から33.0%に減少しま した。「非正規切り」による減少にもかかわらず、依然として3人に1人が非正規雇用という 異常に高い水準です。

 また、完全失業者は、前年同期比で77万人増加の347万人です。このうち、「条件にこだ わらないが仕事がない」としている人は24万人増加の48万人。「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」が14万人増の57万人、「自分の技術や技能が求人要件に満たない」が15万人 増の26万人と、失職した労働者が急増するもとで、仕事が見つからない実態を示しています。

出典: 2009年8月19日(水)「しんぶん赤旗」

6月統計
(2009年8月1日)

求人過去最低、非正規失職23万人
これでも「景気底打ち」か

 政府が31日発表した雇用関係の統計によると、求人は過去最低を更新し、完全失業率は5.4% に悪化しました。
 麻生自民・公明政権は「景気底打ち宣言」をしていますが、雇用情勢は一段と悪化。「財界いい なりに労働法制の規制緩和をすすめ、安定した雇用を壊して、不安定雇用に置き換えてしまった 政治の責任」(日本共産党の総選挙政策)が問われます。



 厚生労働省が発表した6月の有効求人倍率は0.43倍で、5月に続き過去最低を更新しました。 「正社員」は0.24倍で1年前の半分にも満ちませんでした。
一方、総務省が発表した労働力調査によると、6月の完全失業率は5.4%と前月比0.2ポイ ント上昇。過去最悪の5.5%(2003年4月)に迫る勢いです。

 厚生労働省が発表した非正規労働者の昨年10月から今年9月までの失職・失職予定者は22万 9170人で前回調査から2.7%増加しました。

 麻生政権は、企業の生産や輸出が持ち直しの動きを示していることから「景気は底を打った」と しています。しかし、自動車・電機など輸出大企業は依然として大規模な人減らし・リストラ計画 をすすめています。

出典: 2009年8月1日(土)「しんぶん赤旗」

東芝を国税局が調査
(2009年7月18日)

東芝、11億円所得隠し

 電機大手「東芝」(東京都港区)と子会社が、東京、関東信越両国税局の税務調査を 受け、2008年3月期の在庫部品処理をめぐり、約11億円の所得隠しを指摘された ことが2日、分かりました。重加算税を含む追徴税額は約4億5000万円に上りまし た。
 同社によると、子会社の医療機器製造「東芝メディカルシステムズ」(栃木県大田原市) が製造したCT装置やX線装置などの医療機器や関連部品の在庫について、通常は余剰と 判断した部品は廃棄処分としていましたが、一部を倉庫に保管したまま、帳簿上は廃棄し たとして損金処理したといます。

出典:2009年7月3日(金)「しんぶん赤旗」

5月統計
(2009年7月5日)

景気“底打ち”いうけど
   求人倍率最低0.44倍、 失業率悪化5.2%

政府が6月30日発表した雇用関係の統計統計によると、5月の有効求人倍率は0・44倍で、調 査開始以来の最低を更新しました。正社員の求人は0・24倍で、1年前の半分以下に低下しまし た。一方、5月の完全失業率は5・2%と前月比0・2ポイント悪化。失業率の悪化は4カ月連続 で、過去最悪の5・5%に迫っています。完全失業者数は前年同月比77万人増の347万人。増 加幅は過去最大となりました。解雇など勤め先の都合や雇い止めによる失業が増えたためです。

 非正規労働者の失職は依然として増えています。昨年10月から今年9月までの失職者(予定を 含む)は22万人を超えました。

 給与は減少しています。5月の現金給与総額は前年同月比2・9%減の26万7395円と12 カ月連続のマイナスとなりました。
 


  政府は6月の月例経済報告で景気の基調判断から7カ月ぶりに「悪化」の表現を削除。「(景気は) 底を打ったと強く推定できる」(与謝野馨経済財政担当相、6月17日)と事実上の「底打ち」を宣 言しました。理由は、輸出と生産が上向きになったことでした。しかし、製造業を中心に輸出大企業 は一段と「雇用調整」を進めており、「(雇用情勢は)さらに厳しさを増している」(厚生労働省 )状況です。労働者にしわ寄せすることで、収益改善を図ろうとする大企業の身勝手さに歯止めを かけ、雇用を守る社会的責任を果たさせることこそが求められています。

出典: 2009年7月1日(水)「しんぶん赤旗」

東芝系企業が正社員に
(2009年6月27日)

30代男性、「派遣切り」覆す
            愛知労働局指導

東芝の系列企業(本社・東京)が、解雇した30代男性派遣労働者を実際には派遣期間 を超えて働かせていたとして愛知労働局から是正指導を受け、正社員として直接雇用す ることが明らかになりました。男性の所属する名古屋北部青年ユニオン(全労連・全国 一般労働組合愛知地方本部加盟)が26日、発表しました。

男性は、「正社員として、これまで以上にがんばりたい。多くの企業が違法をあらため、 正社員化をすすめてほしい。そのために自分もなんらかの形でがんばっていきたい」と 話しています。同ユニオンサポーターの石田進氏は「派遣切りとたたかう労働者の大き な励ましになる。現在、11社に対する申告が受理されており、いっそう運動を広げ、 一人でも多く救済されるよう全力を尽くしたい」と語っています。

 男性は、3年5カ月間登録してきた東芝系の人材派遣会社から今年2月解雇通告を うけたことから、労働者派遣法にもとづく直接雇用を求めて愛知労働局に申告。自分の 契約は、期間の定めのない「専門派遣26業務」の「機械設計」となっているが、実際 は基地局建設のためのあらゆる業務を強いられ、期間の定めのある「自由化業務」であり、 直接雇用の申し入れを受ける対象ではないかと訴えました。

 調査をした労働局は3月末、男性の訴えを認め、派遣先に対して「直接雇用の推奨」 を求める是正指導を行っていました。

 労働局の指導をうけた2社は、当初は従わず、「ほかの地域の労働局はそんなことは いわない」などと開きなおり、派遣先が4月末に契約を終了しました。

 日本共産党の仁比聡平参院議員が5月、参院予算委員会で取り上げ、その後も、仁比 議員は男性とともに厚労省に「雇い入れ勧告」の発動を要請しました。
 


是正指導が力 大きな成果

 仁比参院議員の話 若者が泣き寝入りせずに立ち上がり、労働組合の仲間と一緒に、 労働局申告の是正指導を力にして勝ち取った大きな成果です。

 今回は愛知労働局が速やかに「直接雇用の推奨」を指導しました。私も参院予算委 員会で質問し、舛添厚労相に「指導に従わねば勧告し、企業名を公表する」と答弁さ せました。労働局申告と国会質問で解決に至ったのは画期的です。

出典:2009年6月27日(土)「しんぶん赤旗」
名古屋北部青年ユニオン

 専門業務だと偽って働かされていた労働者が正社員化を実現したという点でも注目 すべき成果であり、全国のたたかいを励ますものです。

4月統計
(2009年6月10日)

輸出大企業 生産上昇 ↑
   雇用は最低水準 家計低迷も最長 ↓

  政府が二十九日発表した経済統計によると、雇用情勢は一段と悪化し、個人消費が低迷しています。一方、鉱工業生産は持ち直し始めています。輸出大企業を中心に「在庫調整」「雇用調整」を急激に進めた結果、生産は上昇に向かい始めたものの、労働者と家計に大打撃を与えていることが分かります。


求人倍率は最悪

●四月の完全失業率は5・0%と、五年五カ月ぶりに5%台に達しました。四月の有効求人倍率は〇・四六倍と過去最低(一九九九年五、六月と同水準)を記録しました。このうち「正社員」は〇・二七倍と前年同月の半分に落ち込みました。自動車、電機など製造業での雇用破壊が目立ち、昨年十月から今年六月までに失職する非正規労働者は約二十一万六千人となりました。

●雇用悪化は家計に波及しています。四月の家計調査によると、一世帯当たりの消費支出は三十万六千三百四十円となり、実質で前年同月比1・3%減。十四カ月連続のマイナスとなり、過去最長を更新しました。

●一方、四月の鉱工業生産指数は前月比5・2%上昇し、二カ月連続プラスとなりました。企業の在庫調整が進み、自動車など輸出産業を中心に生産が回復傾向を示しました。

●政府は五月の月例経済報告で、景気の基調判断を「このところ悪化のテンポが緩やか」とし、前月の「急速な悪化が続く」から上方修正しました。しかし、下げ止まりつつあるのは生産などで、雇用情勢はいっそう悪化していることを、政府統計は裏づけました。

●雇用指標の急激な悪化について、政府は「大変残念」(与謝野馨財務・金融・経済財政相)、 「(雇用情勢は)依然として厳しい」(舛添要一厚生労働相)としていますが、

出典:2009年5月30日(土)「しんぶん赤旗」

大企業に雇用を守る社会的責任を果たさせる指導・監督こそが求められています。

東芝の派遣切り
(2009年6月5日)

東芝グループに勧告を

  労働者、仁比氏らと厚労省に

 3年の期間制限を超えて働かせてきたのは違法だとして、愛知労働局に直接雇用の指導を求めて申告している東芝グループの男性派遣労働者が3日、日本共産党の仁比聡平参院議員らとともに厚生労働省を訪れ、愛知労働局の指導・助言に従わない派遣先に雇い入れ勧告を行うよう申し入れました。

 男性は、派遣元から5月末で解雇通告されていました。5月21日の仁比議員の国会質問に舛添要一厚労相が、指導に従わない企業には勧告すると答弁したのを受けて派遣元が解雇を撤回しましたが、派遣先は契約を解除したままで労働局の指導に応じていません。

  要請で男性は厚労省が指導した「雇用の安定」について、「雇用の安定とはクビを切ることか。仕事を失うことなのか」と訴え。
 厚労省の担当者は、要件を満たせば勧告を行うと答えましたが、個別事案には答えられないとのべました。

 仁比議員は、「労働局の指導が出てもう2カ月だ。一刻も早く勧告に踏み出すべきだ」とのべ、大臣答弁をふまえて検討し、報告するよう求めました。

 申し入れ後、男性は「引き続き団体交渉や申し入れなどでがんばる。僕が立ち上がることで全国の運動も盛り上がってくれれば」と語りました。

2009年6月4日(木)「しんぶん赤旗」より

せこゆき子、八田ひろ子両衆院東海比例候補、木村えみ衆院愛知1区候補、もとむら伸子同3区候補らが同席しました。

東芝深谷工場のU.Sさん勝利判決
(2009年5月19日)

東芝深谷工場のU.Sさん 「過労うつ病」で労災認定

  東京地裁が熊谷労基署の「不認定」を取り消す

●東芝は責任をとり、すみやかに解決を
 東芝深谷工場で、液晶開発技術者として働いていたU.Sさんは、厳しい開発工程のなかで長時間・深夜残業においこまれうつ病になってしまいました。
 U.Sさんは「過重労働でうつ病になったのだから、労災として認めて欲しい」と申請しましたが、埼玉・熊谷労基署は労働災害と認めず、労基署の不支給処分の取り消しを求めて東京地裁に訴えていました。
 5月18日、東京地裁民事36部(渡邉弘裁判長)は、「うつ病は過重 労働による労働災害」と認める判決を出しました。

 U.Sさん(43)は、2008年4月には、「労災を申請し病気治療中の解雇は不当である」として訴えていた東京地裁民事11部の裁判でも「解雇無効」の判決を勝ち取っており
、、2つの判決で東芝の責任は明確に認められました。
 U.Sさんは、パソコン用新型液晶表示装置の開発プロジェクトのリーダとして、月百時間を超える残業や休日出勤が急増し、 80時間を超える分はサービス残業とされる状況でした。
この中でうつ病を発症し、2001年9月から休業治療を余儀なくされ労災認定を申請しました。
しかし2004年9月に会社は2年間の休職期間満了を理由に解雇しました。

 東芝の職場では成果主義で過重労働が広がり、精神疾患が増加しています。
U.Sさんの職場でも同僚2人が自殺しました。
しかし会社は「開発ラインのトラブルは、専門メーカーがきて直すので、U.Sさんの負荷は軽い」と主張し、熊谷労基署は長時間の残業、過重労働の 実態を認めながら、労働災害とは認定しませんでした。
このため、2007年7月に労働基準監督署の決定の取消を求め東京地裁に提訴しました。
 渡邉裁判長は、「心理的負荷の大きい業務に従事し、厳しいスケ ジュールが課され、追い詰められた状況にあった」などとして、 「精神障害を発症させるほど過重だった。業務以外に要因は認められ ない」と認定しました。

 記者会見したU.Sさんは「東芝との解雇撤回を求める裁判に続く 労災認定裁判の勝訴でほっとしている。
東芝は解雇を撤回し解決してほしい。過労うつ病をかかえながら長い時間と大きな費用をかけて
裁判をしなければならない労災行政は間違っている。
国は労災申請しなければならない人が減るような対策をとってほしい」と話しています。

 川人博弁護士は「労災認定されたことで東芝が争い続ける理由は なくなった」と指摘。
「労災申請が増えているのに認定は二割程度し かない。労災行政を改善していく上で意義は大きい」と語りました。
        

労災認定の勝利判決で花束を受け取るU.Sさん

    2009年5月19日(月)「しんぶん赤旗」より

東芝グループで「業務偽装」
(2009年5月22日)

東芝グループ「業務偽装」…指導も無視
【厚労相】企業は法律守らねばならぬ

参院予算委 仁比議員が追及

「雇用破壊をくいとめるのは政治の責任だ」。日本共産党の仁比聡平議員 は二十一日の参院予算委員会で、労働者をモノのように扱い、大量解雇を すすめる大企業のやり方を厳しく告発しました。

●派遣元と派遣先が一体となって「業務偽装」をおこなっている―。

 仁比氏が取り上げたのは、東芝グループの派遣会社・東芝オフィスメイ トに登録し、東芝デジタルメディアエンジニアリングに三年五カ月間、派 遣されてきた労働者の実態です。

 労働者派遣法は、上限三年の派遣期間制限を設けています。一方、 「専門業務」といわれる機械設計やセールスエンジニア(製品に関する技 術的な専門知識を備えた販売員)の営業などには、期間制限がありません。

 オフィス社とデジタル社は求人案内で、「内勤、PHS基地局の工程管 理」としていたにもかかわらず、実際には、法律が「専門業務」と いない基地局建設のためのあらゆる業務を、派遣労働者に強いてきました。

【仁比】これは、「専門業務」を偽った「業務偽装」だ。

【舛添要一厚生労働相】「専門業務」と関係のないことをやり、(労働 時間の)一割を超えれば法令違反だ。

 舛添氏も一般論としながらも、二社のやり方を違法だと認めざるをえま せん。

 今年三月、この労働者は、「専門業務は偽装。ならば三年の上限を超え る」として愛知労働局に直接雇用を求めて申告しました。
同労働局は、 二社にたいし違法派遣を指摘し、「雇用の安定を図るよう」指導・助言し ました。

 ところが、二社はこれに従わず、「ほかの地域の労働局はそんなことは いわない」などと開き直りました。
デジタル社は、この労働者の派遣契約 を四月末で解除しました。

【仁比】このままでは派遣元からも五月に解雇されかねない。申告者を 見殺しにしていいのか。

【舛添厚労相】 指導に従わねば勧告し、企業名を公表する。派遣元には 事業停止命令・事業許可の取り消しをおこなっている。

 「指導に従わないのは明白な違法だ。雇い入れ勧告を絵に描いたもちに するな。
断固として大企業の社会的責任を果たさせよ」と厳しく迫る 仁比氏。舛添氏も「企業は当然、法律を守らねばならない。
仁比議員との 議論で、その成果は相当上がっている」と答えました。

              2009年5月22日(金)「しんぶん赤旗」より

非正規労働者と懇談
(2009年5月19日)

たたかいは未来に生きる

                志位委員長、非正規労働者と懇談

日本共産党の志位和夫委員長、市田忠義書記局長は5日、それぞれ遊説 先の三重県鈴鹿市、長崎県佐世保市で、大企業に「雇い止め」「派遣切り」 された非正規労働者らと懇談し、「みなさんのたたかいは必ず未来に生き る」「これからも一緒にがんばっていきましょう」と激励しました。

 志位氏はあいさつで「いまの非正規労働は、現行法に照らしても圧倒的 多数が違法状態にあるが、「法違反はどんな理由であれ許されない」と 強調。
 「現行法でもたたかう違はある。みなさんの実態を教えてほしい」と のべ、身を乗り出しながら一人ひとりの声に耳を傾けました。

●ホンダ・シャープ…違法の実態次々、 一人で悩まずに

「一人で悩んであきらめるのではなく、連帯して社会を動かすことが大切 だとわかった」(33歳の男性派遣労働者)志位委員長は「非正規切り」 の被害を受けている派遣・期間労働者約20人と懇談し、参加者はこんな 感想を語りました。
 同市を含む北勢地域には、ホンダやシャープなど「非正規切り」を行っ ている大企業の工場が集中しています`懇談に参加したのは、この地域の 主に若い労働者。
「派遣切り」で途方にくれる中、数日前にインターネッ トで「困ったときは共産党に」との文言を見つけて、日本日本共産党に連 絡してきたばかりの青年も。

 ホンダ・鈴鹿製作所で雇い止めを強いられている男性は、期間制限を超 える3年9ヵ月も派遣として働かされた上に、去年8月からは期間工とし て2カ月の細切れ契約を反復してきた実態を告発。派遣期間制限違反、 短期契約の反復という「二重三重の違法行為です」(志位氏)。
 もう一人の男性も、ホンダで3年間、期間工として2ヵ月契約の更新を 繰り返してきたと述べ、「裁判を起こしてでもこうした実態を変えたい」 と決意を語るとともに、「地域に一人必ず国会議員がいる共産党になって いただければ・・・」と切実な願いを語りました。
 鈴鹿市の富士ゼロックスで蔵遣切り」を通告された若い女性は、同社で 八年間も同じ仕事で働いていました。
 寮費は約七万円で光熱費等は三万円、さらに社会保険料などを引くと 手取りは五万円以下になるときもあるといいます。
 後から、最初は「偽装請負」で派遣期間制限も超えていることがわかり ました。「働くのに精いっぱいで全然知らなかった」。女性は悔しそうに いいました。

 四日市市のパナソニックで「派遣切り」を通告された男性も、5年7力月 同じ仕事で働き、「チャンスがあれば正社員に」と思っていました。
この場合も、大企業による二重の違法行為であり、志位氏が、「労働局への 申告を検討してはどうか」と助言すると、男性は深くうなずきました。

 また、ある男性は、日産九州、トヨタ車体(愛知県)、シャープ系列の 下請け(淡路島)など全国を転々とさせられたうえ、シャープ亀山工場
(三重県)で「派遣切り」にあったという境遇を切々と訴えました。

●現行法に照らしても違法は許せない

 志位氏は、これらの実態に、「大企業の労働現場がまさに″違法の巣窟″ とされていることに憤りを感じます」とのべるとともに、大企業に対し、 「巨額の内部留保のごく一部を使えば雇用は維持できる」と要求するのは 当然だが、「現行法に照らしても違法行為は許さない。
ここをしっかり握ってたたかえぱ遣は開かれます」と語りかけました。

 参加者からは、労組に入ってたたかっている取り組みも次々報告され ました。志位氏が、「みなさんのだたかいは必ず未来に生きる。
日本社会の姿かたちを変える大事なたたかいです」と激励し、日本共産党としても ともに力をあわせ、全力をあげて奮闘すると表明、参加者は大きな拍手で これに応えました。

 懇談には、日本共産党から衆院東海比例候補の八田ひろ子候補と中野 たけし候補、大嶽隆司県委員長らが同席しました。

               2009年4月6日(月)「しんぶん赤旗」より

内部留保
(2009年5月18日)

内部留保や人件費のデータ

大企業は金融危機、景気後退、業績悪化を理由に、労働条件の切り下げや首切りを行っています。
これに対して労働者・国民の側から「内部留保を使って雇用を守れ」という声と運動が起きています。

そこで財務省「法人企業統計年報」から資本金10億円以上の製造業
,200社の、2001年度と2008年度の内部留保を比べて見ました。
 

        2001年 → 2008年
総資産   249.5 → 282.9 兆円(113.4%)
利益剰余金  56.2 → 76.4 兆円(136.0%) 〔狭義の内部留保〕
内部留保   97.2 → 117.7 兆円(121.0%)
配当金       1.7 → 5.7 兆円(335.3%)
役員給与  0.4037→0.5344 兆円(132.4%)
人件費      27.2 → 25.7 兆円( 94.6%)

この数値から見えてくるのは、内部留保や配当金は増えているのに、労働者
の賃金は減っているという事実です。

失業手当不受給
日本が最悪
(ILO先進国比較)
(2009年4月7日)

失業手当を受給できない労働者の割合

国際労働機関(ILO)は3/24、経済危機が雇用に与える影響などを調査
した「金融・経済危機…ディーセントワーク(人間らしい仕事)が答え」
と題する報告書を発表しました。
その中で失業しながら失業手当を受給できない労働者の割合が、先進国で
日本が最悪の77%(210万人)になっていることが明らかになりました。

日本   77% (210万人)
米国   57% (630万人)
カナダ  57% ( 70万人)
英国   40% ( 80万人)
フランス 18% ( 40万人)
ドイツ  13% ( 40万人)

同報告では経済協力開発機構(OECD)に加わる30カ国の半分で、
50%以上の失業者が失業手当を受け取れないと指摘。悪い水準上位の
日本、米国、カナダについては、「他国よりも失業手当の受け取り基準
が厳しい」と名指ししました。

日本とヨーロッパの「非正規」事情
出典:「民主青年新聞」
(2009年3月2日号)

「非正規切り」による大量の失業者、ホームレスが次つぎと生みだされています。ところが日本政府は、無法のかぎりをつくす大企業にだんまりを決め込むばかり。
ヨーロッパの雇用対策を見比べると、日本政府の無責任ぶりが見えてきました。

首相や大臣が大企業に乗り込む

 アメリカ発の経済危機の波は世界全体にひろがり、ヨーロッパでも“経済危機”を口実としたリストラ計画がすすめられようとしています。しかし、ヨーロッパの首相や担当大臣は企業に直接乗り込んで“安易な解雇はゆるさない”と大企業を指導しています。
EU(欧州連合)は今回の経済危機を受けて、08年11月に「欧州経済回復計画」を発表。 その計画にはこう書かれています。「困難なときには、われわれの行動はもっとも困っている人びとにむけられるべきである」

【フランス】

ボキエ雇用相、ルノーに“資産使え、リストラは論外”
 自動車会社のルノーが5000人のリストラ計画をだしたときに、ボキエ雇用担当相が「ルノーのような巨大企業グループは、資産を持っているのだし、雇用破壊は論外だ」と批判。サルコジ仏大統領は同社のサンドゥビル工場に乗り込んで「閉鎖させない」と宣言し、工場無閉鎖をやめさせました

【スペイン】

セバスチャン産業商務相、日産に“リストラ撤回せよ”
日産自動車のバルセロナ工場が1600人の臨時労働者の解雇をすすめようとしたとき、セバスチャン産業商務相が解雇計画の撤廃をもとめ、撤回させました。

【ドイツ】

ショルツ労働社会相、雇用確保へ大企業30社と会合
ショルツ労働社会相が1月、シーメンス、ダイムラーなど大企業30社と2回の会合をおこない、「雇用確保のためのあらゆるてだてをつくす」という共同声明をまとめています。

【日本】

 日本の麻生首相ゃ舛添厚労相は−−−。大企業に足を運ぶことはおろか、国会で大企業のあきらかな労働法違反が指摘されても「個々の企業についてはお答えできません」と、 お決まりの答弁をくり返すばかりです。

派遣は「選択」ではなく「政治」の問題

 日本の労働問題などを取材・研究するフランスのジョセフ・カミュさん

 トヨタや日産といった名だたる大企業がおこなう「派遣切り」に、「なぜこんなことに!?」とおどろいています。フランスで同じような計画が発表されるなら社会的大問題になるでしょう。
フランスでも派遣労働者のような不安定雇用がないわけではありません。しかし、不安定だからこそ、労働者を守るためのしくみがさまざまあります。たとえば、契約期間のの終了後には、派遣期間中の給料総額の10%が手当てとして支給されます。失業保険の給付期間は、日本は最長で1年ですが、フランスは最長で3年もらえます。

 そもそも派遣労働のような働き方は、その人の選択の問題ではなく、制度の問題であり、制度をつくった政治の問題です。フランスでは、不安定だからこそ、人間らしく働けるようにしようと政治がさまざまな保証をつくります。日本政府は労働者の雇用を守るために政治的なイニシアチブをとるべきです。

非正規労働者の割合比較
出典:「民主青年新聞」
(2009年3月2日号)

日本とヨーロッパの非正規労働者の割合(%)

日本            37.8
イギリス        5.8
スウェーデン 17.3
フィンランド    16.4
ポルトガル    20.6
オーストリア  9.0
オランダ       16.6
ルクセンブルク    6.1
イタリア        13.1
アイルランド  3.4
フランス        13.5
ドイツ           14.5
デンマーク    8.9
ベルギー      8.7