[職場だより] 2022年02月16日 追い出し部屋から元の業務に復帰
−東芝ESS社の不当な配転の無効を求める裁判−
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東芝エネルギーシステムズ社(ESS社)の小里正義さん(53才)は、2019年1月から3月までの間、
会社から繰り返し早期退職を強要され、それを断ると「追い出し部屋」である「業務センター」
に配転させられました。そこからこれまでのキャリアとまったく異なる倉庫業務などの、
単純作業や肉体労働の仕事に出されました(出向)。
大学の理工学部を卒業し、東芝でIT技術者として、ずっと働いてきた小里さんは、2020年3月、
横浜地方裁判所に「業務センター(追い出し部屋)」への配転、出向命令は違法であるとして、
配転無効の訴えを起こしました。
小里さんは、倉庫での重労働などキャリアと異なる企業、部署での業務に屈辱感を感じながらも、
ここで負けたら次の人生はないとの思いから元のIT業務に戻るために耐えてきました。
裁判が進む中で小里さんの主張が実現し、会社は2022年1月、小里さんを元の職場のIT業務に戻しました。
2月1日、小里さんと弁護団が記者会見し、IT業務に復帰でき訴訟の目的が達成できたので、
訴えを取り下げたことを報告しました。
会見で小里さんは「元の業務に戻れて良かった」と強調しつつ、判決で会社の不当行為を
認めさせたかったとの思いも口にしました。
小里さんは、退職を強要された時はおびえているだけだったが、弁護士に相談して会社に抗議する中で、
会社の理不尽な態度に怒りを募らせていったといいます。
同じ境遇にいる人たちへのメッセージとして小里さんは「負けないで、勇気を持って、
しぶとく行動してほしい」と話しました。
(注)
東芝は原発事業での失敗を契機に、2018年11月から5年間で7000人を削減するリストラ計画を進めました。
東芝エネルギーシステムズ社(ESS社)も、2019年3月31日に 427人もの従業員を、早期退職の名目で
解雇しました。このときの解雇のしかたは強引で、首切る従業員を会社が一方的に決めて、呼び出し、
威圧的に(パワハラで)退職を強要する方法で行われました。
早期退職に応じなかった従業員を、見せしめとして「業務センター(追い出し部屋)」に配転して、
他社の倉庫に出向させ、部品の運搬などをさせました。
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