[職場だより] 2020年09月21日 改めて原子力発電機事業の破綻を振り返る
        −安全性が確立してない原発にバクチ的投資−
●東芝は2000年代、原子力発電機事業に資金も人も集中させる、 歪んだ経営を推し進めました。  2006年2月には、米国の原子力発電機会社「ウェスチングハウス」を、6,210億円 という時価の3倍もの金額で買収しました。  2007年には、「米国から8基の原発を受注した、中国から4基の原発を受注した。」 などと原子力発電機の受注活動が好調と大宣伝をしました。  しかし、原子力発電機事業に投資を集中させた歪んだ経営は、短期間で破綻し、2009年度から決算報告を不正に処理して、 7年間で1,500億円を超える利益を積み増す粉飾決算を行いました。  それは2015年4月に発覚しました。  2016年12月には子会社ウェスチングハウス社の7,000億円の巨額損失も明るみに出ました。  結果、東芝は経営危機におちいりました。
●2020年9月16日、(株)日立製作所は、英国原子力発電所建設事業から撤退すると発表しました。  日立製作所は英国ウェールズ地方のアングルシー島(リバプールの西方に位置する)で2基の原発を建設する計画でした。  建設費用が想定の1.5倍となる3兆円に膨らみ、採算の見通しが立たなくなったこと。  地元では住民が環境破壊だとして立ち上がり、反対運動が続いていること。などが撤退の要因です。
●三菱重工業(株)はトルコの黒海沿岸、シノップに4基の原発を建設する計画を進めていましたが、 2019年1月に撤退することが明らかになりました。  建設費が5兆円にもなり、コストの回収が困難と判断しました。
●世界では、再生可能エネルギーによる発電量と発電量シュアは増え続け、2019年には原子力発電量を上回りました。  また、再生可能エネルギーを使った発電コストは下落する一方なのに、原発の発電コストは年々上昇しています。  原発が経済的にも無謀な事業であることがはっきりしています。
●世論調査では、原発の再稼働反対、原発ノーが多数派です。
・読売新聞 2020年1月〜2月の調査
  原発の再稼働反対 56%
・日本世論調査会 2020年2月〜3月の調査
  今すぐ原発をゼロにすべきだ+段階的にゼロにすべきだ 70%
・原子力規制委員会の委員長を、2012年9月〜2017年9月まで務めた田中俊一氏は、 2020年春のマスコミのインタビューに「できれば原子力発電所は無いほうが良い」と答えています。
●東芝が、原子力発電機事業に資金も人も集中させる、 歪んだ経営を推進したのは、 「原発事業は儲かる」という神話に取りつかれたからです。  しかし、次のような事実を見ても、幻想だったことは明らかです。
 ・1979-3-28 スリーマイル島原子力発電所事故
 ・1986-4-26 チェルノブイリ原子力発電所事故
 ・2011-3-11 福島第一原子力発電所事故
 ・寿命がきた原子力発電機の廃炉問題
 ・使用済み核燃料の保管、処理問題
原子力発電の技術は、いまだに未完成で、ひとたび事故が起きれば大惨事を引き起こすし、 とうてい企業の商業ベースには乗るような事業ではありません。
●東芝は、優れた技術も技術者も持つ、大きな会社です。  社員のなかには、未完成の原子力発電技術を使う原子力発電機事業を心配する意見がありました。  元東芝原子炉格納容器設計技師で、工学博士の後藤政志氏もその一人です。  「東芝の職場を明るくする会」の社員も原子力発電機事業は縮小するように意見を述べていました。
●東芝は労務管理の手法として、1960年代から(元)公安警察官を雇い入れ、社員を監視する秘密組織「扇会」をつくり、 職場に張りめぐらしました。  そのなかで、原子力発電機事業に異議をもつ「東芝の職場を明るくする会」の社員は、賃金や社員資格を低く抑え、 激しく弾圧しました。 そして職場で自由に意見が言えない社風がつくられました。  上の意のままに働くしかない社員は、会社の原子力発電機事業に資金も人も集中させる、 歪んだ経営を止めることができなかったのです。
●東芝が、再び誤った経営をしないよう、社員が自由に意見を述べて、生き生きと働くことができる職場を作りましょう。  あなたの勇気が職場を変えます。
東芝の職場を明るくする会
連絡先 メール akaruku-tsb@kki.ne.jp