[職場だより] 2020年04月26日 経営の立て直しを理由にしたリストラ・解雇
        −いつまで続くのか、職場から不安の声−
 原子力、火力などの発電機事業を展開する東芝エネルギーシステムズ社(ESS社)の従業員のAさんから「ESS社はどうなるのだろう。  昨年のように、人員削減のリストラを行うのでは」と心配の声が届きました。
 昨年の2019年3月31日にESS社は、427人もの従業員を、早期退職の名目で解雇しています。  このときの解雇のしかたは強引で、首切る従業員を会社が一方的に決めて、呼び出し、 威圧的に(パワハラで)退職を強要する方法で行われました。  退職を強要された従業員の方が「おれ何か、会社に悪いことでもしたのか、 (悪いことなどしてない)真面目に働いてきただけなのに」と無念のことばを残したのが、今も忘れられません。
 東芝は2000年に入ると「株主第一主義・株主に利益を還元する企業」のスローガンを掲げ、目先の利益を上げるため、 原子力発電機事業に資金も人も集中させる、歪んだ経営を推し進めました。  2006年2月には、米国の原子力発電機会社「ウェスチングハウス」を、6,210億円 という時価の3倍もの金額で買収しました。
 しかし、東芝が原子力発電機事業を経営の柱にした2000年代は、原子力発電所の事故や、使用済み核燃料の処理の問題で、 世界的には再生可能エネルギーによる発電を増やして行こうという流れが強まっていました。
 ●1979-3-28 スリーマイル島原子力発電所事故
 ●1986-4-26 チェルノブイリ原子力発電所事故
 ●イタリアは1987年に国民投票で原発廃止を決定
 ●ドイツは2022年までに原発の稼働完全停止を決定
時代の流れに逆らって、東芝が原子力発電機を事業の柱にしたのは、異常でした。
 また東芝は原発事業を政府と一体となり、経済産業省のキャリア官僚、柳瀬唯夫氏(原子力政策課長、経済産業政策局長など歴任)、 今井尚哉氏(資源エネルギー庁次長など歴任)らと推し進めました。
 結局は、原子力発電機事業に投資を集中させた、歪んだ経営は破綻し、2009年度から決算報告を不正に処理して、 7年間で1,500億円を超える利益の積み増しを行った粉飾決算が、2015年4月に発覚しました。  2016年12月には子会社ウェスチングハウス社の7,000億円の巨額損失も明るみに出ました。
 原子力発電機事業に投資を集中させる歪んだ経営を推進したのは、西田厚聰 元社長(2005年6月〜2009年6月)、 佐々木則夫 元社長(2009年6月〜2013年6月)、志賀重範 元会長(2016年6月〜2017年2月)ら経営陣でした。
 東芝の粉飾決算は、会社法や金融商品取引法などに違反します。  したがって刑事告発されるのが通常ですが、告発は見送られました。  政府の意向が働いたと言われています。  柳瀬唯夫氏も今井尚哉氏も、2012年12月に安倍内閣の内閣総理大臣秘書官に就任しています。
 柳瀬唯夫氏は2018年12月に、 東芝クライアントソリューション社の取締役に就任しています。
【ライブドアの粉飾決算事件では、粉飾額が約50億円でしたが、代表取締役社長の堀江貴文氏は、 金融商品取引法違反の罪で懲役2年6か月の実刑判決を受けています。  これと比べて東芝の粉飾決算事件の処理は特別と言われています。】
●東芝はいまだに従業員に対して、歪んだ経営を行った経営(陣)について、その原因や責任に関する説明を行っていません。  やっているのは、経営の立て直しを理由にしたリストラです。  2019年だけでも1,237人もの従業員を早期退職の名で解雇しています。  従業員に犠牲を押し付ける経営は止めてください。
東芝の職場を明るくする会
連絡先 メール akaruku-tsb@kki.ne.jp