[職場だより] 2020年03月14日 現実と合わない賃金制度の改定理由
−狙いは従業員の賃金抑制−
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会社や東芝労働組合は、今度の人事処遇制度(賃金制度)の改定理由を、次のように説明しています。
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【資格制度の廃止と役割等級制度の導入】
現行の資格制度は、一定の役割で年齢や勤続年数が加味されているのに対して、役割等級制度は、
従業員が組織を担うべき役割を明確化し、役割等級の定義に合致すれば、
年齢や勤続年数に関係なく上位役割などへの闊達な役割任命も可能であり、
今後増加するシニア層、未来の会社を担う若年層、即戦力としてのキャリア採用者、
これまで以上に求められる役割・責任の変化に柔軟に対応できる。
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この説明には、飛躍があり、無理があります。
●現行の東芝の賃金制度は20年前に導入された「成果主義賃金制度」です。
従業員の賃金は、会社と労働組合の交渉の結果に基づいて、4月に改定されます。
このとき、仕事で成果(利益)を出した従業員は、会社(上司)の査定によって大幅に賃上げされます。
また、一時金(ボーナス)の査定でも高いランクが付けられ、高額が支給されます。
●しかし賃金は、生活給(働く本人とその家族が生活するために必要な金額)で決めるのが基本です。
30代、40代になると結婚もし、子供も生まれて、教育費もかかるようになります。
住宅ローンの支払いも出てきます。
そのため「成果主義賃金制度」を導入するとき、賃金(資格)を年齢や勤続年数で一定程度加味したのです。
●東芝では20代、30代のの従業員が仕事の主力として働いています。
会社の利益に貢献した事例はたくさんあります。
また、30代前半でリーダー(課長相当)として活躍している従業員もいます。
現行の賃金制度が、若い従業員の活躍を阻害するという理屈には、無理があります。
●キャリア採用はこれまでも行われてきました。
キャリア採用者に能力を発揮してもらうには、それを支えるしっかりした組織(技術者集団など)が必要です。
キャリア採用者が一人では何もできません。
東芝は、昨年度も今年度も別表に示すように1,000人を超える優秀な新卒者を採用します。
キャリア採用を高々と述べていますが、わずかな人数のキャリア採用を高々と述べて、
それを資格制度の廃止と役割等級制度の導入理由にするのは、いかがなものかと思います。
※会社は、人事処遇制度(賃金制度)の改定理由をあれこれと述べていますが、
本当の狙いは従業員の賃金抑制にほかなりません。
★東芝 新卒者採用計画・実績★
| | 事務系 | 技術系 | 技能系 | 合計 |
2019年度 | 国内連結 | 170 | 810 | 60 | 1,040 |
単独 | 70 | 270 | 10 | 350 |
2020年度 | 国内連結 | 220 | 870 | 80 | 1,170 |
単独 | 70 | 270 | 10 | 350 |
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