日本には、雇用対策法という法律があって、企業が好き勝手にリストラをしないよう歯止めを
かけています。
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以下に雇用対策法の主要部分と、その具体化のための通達、リストラされた人たちの再就職の状況の調査レポートを載せておきます。 雇用対策法(昭和41年7月21日法律第132号) 最終改正:平成23年4月27日法律第26号 (目的) ○第一条 この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、雇用に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働力の需給が質量両面にわたり均衡することを促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。 (基本的理念) ○第三条 労働者は、その職業生活の設計が適切に行われ、並びにその設計に即した能力の開発及び向上並びに転職に当たつての円滑な再就職の促進その他の措置が効果的に実施されることにより、職業生活の全期間を通じて、その職業の安定が図られるように配慮されるものとする。 (国の施策) ○第四条 国は、第一条第一項の目的を達成するため、前条に規定する基本的理念に従つて、次に掲げる事項について、必要な施策を総合的に講じなければならない。 (地方公共団体の施策) ○第五条 地方公共団体は、国の施策と相まつて、当該地域の実情に応じ、雇用に関する必要な施策を講ずるように努めなければならない。 (事業主の責務) ○第六条 事業主は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について、当該労働者が行う求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うことにより、その職業の安定を図るように努めなければならない。 (再就職援助計画の作成等) ○第二十四条 事業主は、その実施に伴い一の事業所において相当数の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等であつて厚生労働省令で定めるものを行おうとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該離職を余儀なくされる労働者の再就職の援助のための措置に関する計画(以下「再就職援助計 画」という。)を作成しなければならない。 公共職業安定所長は、前項の認定の申請があつた場合において、その再就職援助計画で定める措置の内容が再就職の促進を図る上で適当でないと認めるときは、当該事業主に対して、その変更を求めることができる。その変更を求めた場合において、当該事業主がその求めに応じなかつたときは、公共職業安定所長 は、同項の認定を行わないことができる。 (大量の雇用変動の届出等) ○第二十七条 事業主は、その事業所における雇用量の変動(事業規模の縮小その他の理由により一定期間内に相当数の離職者が発生することをいう。)であつて、厚生労働 省令で定める場合に該当するもの(以下この条において「大量雇用変動」という。)については、当該大量雇用変動の前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該離職者の数その他の厚生労働省令で定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。 (報告等) ○第三十三条 厚生労働大臣は、第二十七条第一項及び第二十八条第一項の規定を施行するために必要な限度において、厚生労働省令で定めるところにより、事業主に対して、労働者の雇用に関する状況その他の事項についての報告を命じ、又はその職員に、事業主の事業所に立ち入り、関係者に対して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件の検査をさせることができる。 平成 25 年 3 月 27 日 職政発 0327 第 1 号 「大量離職者が発生する際の指導援助業務等に係る留意事項について」 3 雇用対策本部の設置 (1)設置趣旨 リストラ企業における雇用調整の規模が大きい場合には、地域住民等の雇用不安が急激に拡大する可能性があり、事業主、労働者、地域住民、マスコミ等報道機関その他社会一般から、労働行政の迅速で的確な対応が期待されることから、雇用対策本部(以下「本部」という。)を設置する。 (2)設置基準等 本部の主たる任務は、的確な情報収集を行い、様々な角度から分析するとともに、それを踏まえ、必要な支援策等についての速やかな意志決定、担当部局の所掌に応じた業務の迅速・確実な遂行、施策の推進状況等についての報道機関等への適時・適切な発表を行うことであり、本部を設置する場合の必要性の判断、その構成及び留意事項については、概ね次のとおりである。 厚生労働省 労働市場分析レポート第19号 平成25年10月1日 再就職援助計画対象者の就職状況 <概要> ・再就職援助計画(*)対象者の就職状況を把握するため、平成23年10月から平成24年3月末までの間に再就職援助計画の対象となった者で、同時期内に離職し、その後雇用保険の受給資格決定を受けた者(以下「計画対象者」という。)の雇用保険データをもとに調査を行った。 (*)再就職援助計画とは、事業主が、1つの事業所で1か月に30人以上の離職者を生じさせることが見込まれる事業規模の縮小等を行おうとする場合、雇用対策法第6条に基づき事業主が作成すべき書類。離職者の再就職活動に対して事業主がどんな援助を行う予定かを記載する。 <主な調査結果> ・計画対象者は、全体の64.4%を男性が占め、55〜59歳の男性が最も多い。 ・計画対象者のうち、離職後3か月以内の就職が確認できた者は、13.5%、6か月以内の就職が確認できた者は31.5%、1年以内の就職が確認できた者は57.1%である。また、年齢が高くなるほど1年以内に就職する者の割合(比率)が低くなる傾向がある。 ・計画対象者の就職経路は、安定所30.8%、民間紹介19.8%、自己就職47.3%、自営1.5%であり、民間紹介で就職した者の割合が大きい。 (参考:雇用動向調査(2011年)における転職入職者の入職経路は、職業安定所22.9%、ハローワークインターネットサービス3.7%、民間職業紹介所3.0%、広告29.8%、縁故23.9%) ・離職した事業所を産業別にみると、製造業が56.8%。一方、就職先事業所を産業別にみると製造業(27.6%)、サービス業(他に分類されないもの)(16.2%)、卸売業・小売業(12.8%)、医療・福祉(6.4%)等が占める割合が高くなっている。 ・離職時の事業所が製造業だった者の就職先事業所の産業をみてみると、製造業(41.2%)、サービス業(他に分類されないもの)(14.2%)などが多い。 <まとめ> ・全体として、計画対象者には中高年齢者が多く、年齢が高くなるほど1年以内の就職が確認できた者の割合(比率)が低くなる傾向がみられた。 |