今日は、M女史の案内で、奥多摩の奥座敷であり、 信仰の山でもある御岳山に
出かけます。


青梅線御嶽駅前
 多摩川を越えて吉野街道を右手に進みます。
歩道を進んでいくと東京電力の水力発電所があ
り、上から太いパイプが落ちています。
 「あら、水の流れる音がするわね。発電してい
るのかしら」みんなが耳を澄ましていると、
「いやだわ、あなた負けているわね」とM女史。
その水音はSさんが解放しているところでした。
駅から20分ほど進むと赤い大鳥居が現われます。
 珍道中の始まりは、青梅線の御嶽駅から
全員揃っての出発です。
 多摩川に架かる橋を渡りますが、「Iさん、
そっちはだめ、バスには乗らないの」太った
Iさんしぶしぶ従います。左手にバス亭があ
りますが、健脚を気取って山頂まで歩いてい
きます。

御嶽神社一の鳥居
 道の傾斜がきつくなってきますが、私たちは、谷川のせせらぎを 聞きながら登って行きます。疲れが感じられるころ、一気に急斜面 になり道路の丸い溝の滑り止めが恨めしくなってきます。その時、 異様な音が、「こんどは、おなら?」とM女史。満員のバスがエン ジンを噴かしてみんなを追い抜いていきました。
ケーブルカーまでの急坂

ケーブルカーを待つ行列
 額の汗をぬぐった手の先の正面にケーブルカーの赤い鉄橋が現わ れ、バスから吐き出されたハイカー、男、ご婦人、子供がケーブル カーの改札に吸い込まれて行きます。私たちは左手に折れてせせら ぎに架かる石橋を渡り、石柱の鳥居をくぐって、御嶽神社への参道 に入ります。その前に、ここで一休みしましょう。
石鳥居をくぐって山道の参道となる

 鳥居からは山道に入りますが、御嶽信仰を守る人々の生活の道路 でもありコンクリなどで舗装されています。時折、軽自動車やバイ クが通りますので、彼等優先で道を開けます。斜面をつづら折で登っていく両脇には、杉の巨木が迎えて くれます。それぞれの杉には 番号の付いたプレートがあり、最初は700番台から始まり、登 るにつれて番号が減っていきます。そして、古木の根は 土から露出し縦横斜めに這い廻り、その形から いろいろな想像を掻き立てられます。「イカね、タコかしら、クラ ゲだは」「自然て偉大ね」なんて言っていると。Hさんが「あれ見 て!」見上げると、不思議な形の根。M女史は頬を赤く染めていま した。他にもヘビ、ワニ、トカゲ、熊の穴もあります。杉の番号が 無くなるところまでくるとケーブルカーで登ってきた人たちと一緒 になります。ここにビジターセンターがあり、疲れた私たちは、用 足し、給水など、思い思いの欲求を満足させます。

 ここには集落があり、民宿や宿坊がたくさんあります。通りは人 で一杯、若いの、年寄り、娘さん、おじさんが入り乱れています。 その間を縫って、古木のある急坂を登ると仲見世通りになり十軒足 らずですが繁盛しているようです。
手水所
仲見世通り
御嶽神社
 手水所で清めてから、山門をくぐり階段を上って行くと神殿があります。 神様を拝む人、記念撮影をする人、周りの景色を楽しむ人、それぞ れです。私たちはここまで歩いてきたことへの感謝を込めて下界に 手を合わせました。
 「南無阿弥陀仏」、「そうじゃないでしょう」、「三三七拍子じゃない の、このようにするのよ」、「アーメンじゃないの、しつこいわね、 アーメンは違うの」廻りが慌しくなりM女史の頬に冷たい雨が二滴 あたりました。「あら、いやだは、傘忘れちゃった」。
 帰りは、疲れもあるので、ケーブルカーとバスを使って御嶽駅ま で降ります。駅前近くの蕎麦屋でビールと天ぷらそばにて疲れを癒 してからそれぞれのお家へ帰りました。そして、みんな満足でした。

 と、言うわけで楽しい一日は終りました。